その昔、ビデオアートで有名だったナム・ジュン・パイク(白南準)という現代美術家がいました。
モニターを使ったユニークなオブジェを発表していたのですが、1980年代の後半にソウル郊外の美術館に行ったら、テレビの塔のような彼の大作が展示してあって圧倒されました。1000台のテレビを積み上げた20mほどのタワーで、『The More the Better』という人を喰ったタイトル。
画面にはさまざまなビデオ映像が流されていて、ところどころ消えていたのはブラウン管が壊れたのか、あるいは意図的だったのか。
何がすごいって、近寄ると髪の毛や産毛が逆立ったんですよ。明らかに静電気だか電磁波だかが放射されていて、吹き抜けの空間がジリジリいってるんです。あれは驚いた。
何年か前、老朽化で電源が切られ、修復をめぐって議論になっているというニュースを見ました。もはやブラウン管が入手困難なんですって。液晶にしたら全然違うモノになってしまうと。
確かにあのエネルギッシュというかなんというか、異様な感覚はなくなるでしょうね。また見てみたいなあ。