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大阪で捕獲された鹿を奈良公園に戻さないとした奈良県知事の発言が話題になっている。
奈良の鹿は、国の天然記念物ではあるが、「ナラノシカ」という特別な「種」があるわけではなく、実は野生動物の「ニホンジカ」に属している。
とはいえ、春日大社周辺の鹿は古くから「神の使い」とか「神鹿」と呼ばれ大切にされて来たことから、国は、奈良市一円に生息する鹿を天然記念物に指定した。法律上は、地域を定めない天然記念物であるが、奈良市を離れればただのニホンジカなので、天然記念物ではなくなる(鳥獣保護法に基づく野生動物になる)とされており、事実上は、奈良市に生息する鹿が保護対象であった。
ところが、その後、奈良市内で鹿が農産物を荒らす事例が社会問題となり、被害農家との訴訟を踏まえ、保護地域が限定されるようになった。すなわち、現在は奈良市を①重点保護地区、②保護地区、③緩衝地区、④管理地区に分けた上で、事実上、捕獲の重点を①②に絞り、③④については捕獲(場合によっては駆除)の可能性を広げているわけである。
そのため、奈良市を離れた鹿を①②に戻すことは、③④よりも外側の地域にいるにもかかわらず、③④にいる鹿よりも手厚く保護することを意味し、制度の整合性を欠くことになる。したがって、奈良県としては、奈良市を出た以上は単なる野生動物として扱うことを求めざるを得なかったのだろう。
長い冒険に出た鹿には可哀想な結論だが、その背後には、天然記念物でありながら実は奈良市を離れると普通のニホンジカに過ぎないという特殊な事情が横たわっている。
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