
担任の先生が、卒業式の日に私だけ呼び止めた。 「3年間、ずっと謝りたかったことがある。」 意味がわからなかった。 「なんですか。」 「入学式の日、あなたの名前を間違えた。」 覚えていた。 先生が私の名前を読み間違えた。 クラス全員が笑った。 「覚えてますよ。」 「ずっと気になってた。」 「3年前のことですよ。」 「あの日、あなたが泣きそうな顔をしてた。」 泣きそうだった。 でも泣かなかった。 「先生、覚えてたんですか。」 「毎年入学式の前に思い出してた。」 「3年間ずっと?」 先生が頷いた。 「卒業式まで謝れなかった。」 「なんで今日言ったんですか。」 先生が少し間を置いた。 今日言わなければ、もう言えないから。 そう思ったと言った。 でも次の言葉が、予想と違った。

