wamon
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不思議なんですが、日本の美術館はなぜ「稼ぐ」ことに必死なんでしょうか? これには日本特有の歪んだ事情があります。 美術館とはそもそも何でしょうか? 多くの人は「展覧会を行う場所」と答えるでしょう。 でも実は「企画展」というビジネスモデルに偏っているのは日本だけです。 美術館の本来の目的は別にあります。 美術館のルーツはフランス革命に遡ります。 市民によって王政が崩壊した際、アートの価値が分からない人々によって王家や教会の美術品が海外へ売り飛ばされたり燃やされたりしました。 「これはいけない、国の宝を守らなくては」と、散逸する名画をかき集め、王家が追放されて空っぽになったルーブル宮殿を美術品の保管施設に転用したのが美術館の始まりです。 つまり美術館・博物館とは「収集して永久保存する場所」なのです。 そのため、欧州の美術館は「自前のコレクション(常設展)」こそがメインであり、企画展はあくまでサブ要素です。 しかし、日本はこの構造が根本から違います。 日本の公立美術館の多くは戦後に作られたため、欧州のような十分な独自のコレクションを持たずにスタートしました。 常設展だけでは人を呼べないため、海外から有名な作品を借りてくる「企画展ビジネス」への依存が非常に高くなったのです。 さらに、日本の文化庁予算は欧州主要国に比べてかなり少なく、美術館の運営費交付金だけでは余裕がありません。どうしても入館料や物販などの稼ぎで回さざるを得ないのです。 予算やコレクションがない中で、手っ取り早く数十万人規模の集客と注目を集めるため、新聞社やテレビ局がスポンサーとなるようになりました。 彼らが巨額の資金と宣伝力を使って大規模企画展をプランニングし、美術館に多くの観客を呼び込みます。 これによって、美術館はノルマを達成し、新聞社やテレビ局はグッズ販売などで利益を上げます。 この日本特有の関係性が戦後からずっと強固に続いています。 その結果、いつしか美術館の評価そのものが「どれだけ人を呼んで話題になったか」という動員数に極端に偏ってしまったのです。 ヨーロッパの美術館では、観客がまばらでスカスカなのが当たり前です。 そもそもチケット代で維持するものではないからです。 なのに日本の美術館の企画展は行列で展示会場は黒山の人だかり。落ち着いて鑑賞もできません。 本来、美術館は「収集・保存・研究・教育」をするためにあるのに、「人が集められないから」と閉館するのは本末転倒です。 美術館の存在意義についてもう一度見つめ直すべきだと思います。











