140字のモノガタリ

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140字のモノガタリ

140字のモノガタリ

@140_monogatari

読んだあと、少しだけ静かになれる140字小説。

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140字のモノガタリ
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雨の日になると、決まって同じバス停に女の子が立っている。制服は古く、傘も差さず、濡れたまま俯いているだけ。気になって「大丈夫?」と声をかけると、彼女はゆっくり顔を上げ、「やっと見つけた」と笑った。その瞬間、背後の電光掲示板に十年前の行方不明者情報として、私の顔が映し出された。
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雨の日だけ、駅前に赤い傘の女が立っている。誰とも目を合わせず、ただ俯いているだけ。ある夜、気まぐれに顔を覗き込むと、そこには私の顔があった。驚いて後ずさると、女はゆっくり笑い、「やっと戻ってきた」と呟いた。翌朝、ニュースでは昨夜の豪雨で行方不明者が一名と流れていた。
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仕事帰り、終電でうとうとしていると、向かいの女がずっとこちらを見ていた。降りる駅で立ち上がると、その女も無言でついてくる。怖くなって走って家に入り、鍵を閉めた瞬間、ポケットのスマホが震えた。「忘れ物してますよ」画面には、今この部屋を撮った写真が送られていた。
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毎日15時になると、机の上に知らないおやつが置かれていた。クッキー、チョコ、飴。気味が悪くて監視カメラを確認したが、映像には誰も映っていない。ただ、無人の机に私の背後から白い手が伸び、おやつを置いていた。背後に気配を感じて震えながら振り返ると、窓に映る私だけが、笑っていた。
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昼休み、誰もいない屋上で弁当を食べていると、背後から「それ、おいしそう」と声がした。振り向いても誰もいない。翌日も、その翌日も声だけが聞こえる。怖くなって教師に相談すると、屋上は去年、飛び降りがあってから立入禁止だと言われた。私は今日も、誰もいない教室で一人で弁当を食べている。
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毎晩、隣室の女が壁を叩く。管理人に苦情を言うと「その部屋、三年前から空室ですよ」と笑われた。帰宅すると壁を叩く音が止み、代わりに私の部屋の内側から、ゆっくり三回、音がした。震えながら押し入れを開けると、旅行中のはずの妹が抱えて座っていた。「ねえ、お姉ちゃん、今までどこにいたの?」
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朝のコンビニで、眠そうな店員に「温めますか?」と聞かれたので「人生ごとお願いします」と答えた。店員は一瞬だけ真顔になり、「少々お時間かかりますね」と返した。危うく好きになるところだった。
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通勤電車で毎朝見かけるサラリーマンがいた。いつも端っこで居眠りしてて、降りる駅も同じ。ある日、その人が珍しく泣いていた。見ないふりをした翌朝、車内のニュースに「昨夜、男性会社員が死亡」と流れる。写真は、昨日まで隣で眠っていたその人だった。でも今朝も同じ場所で静かに目を閉じていた。
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毎朝同じ電車で会う人に片思いしていた。話しかける勇気もなく、降りる駅だけ覚えていた。ある日、その人が落とした社員証を拾い、初めて名前を知る。嬉しくて検索した瞬間、画面に出たのは「本日、結婚を発表」の記事だった。しかも相手、毎朝その人の隣にいた私の親友だった。
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三年付き合った彼女に振られた夜、勢いで長文LINEを送った。でも既読はつかない。朝になっても返事はなく、友達に「ブロックされたんじゃ?」と言われて青ざめた。震える手で確認すると、本当に送っていた相手は、大学時代ほとんど話したこともないゼミ教授だった。しかも「愛してる」で締めてた。
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深夜のスーパーで閉店作業をしていた。毎晩同じ時間、誰もいないはずの防犯カメラにだけ白いワンピースの女が映る。店長は「気にするな」と笑った。でも今夜、録画を確認した私の背後にも、同じ女が立っていた。しかもカメラの中の私は、まだ一人で作業を続けていた。時計は午前三時十三分。音もない。
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深夜のタクシーで、「海までお願いします」とだけ告げる女を乗せた。バックミラー越しに見るたび、少しずつ顔が濡れていく。目的地に着き、震えながら振り返ると後部座席は空だった。残っていたのは古びた学生証一枚。ニュースで見た、三年前に入水した女子高生のものだった。
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深夜のコールセンターで働いている。ある日、「娘を探してください」と泣く女性から電話が来た。特徴を聞くほど、十年前に失踪した妹と一致していく。息が止まりそうになりながら「お名前は?」と尋ねた瞬間、受話器の向こうで女が笑った。「やっと繋がった。お兄ちゃん、まだそこにいたんだ」
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売れない小説家だった。深夜に投稿した短編だけが少しずつ拡散され、「この感性すごい」と褒められた。でもその文章は全部、未来の日記だった。三日前に書いた「駅で刺される男」を読み返していた時、隣のホームで悲鳴が上がる。震えるスマホには「次はお前」と通知が届いていた。時刻は午前零時過ぎ。
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雨の夜、向かいのマンションで毎晩同じ時間に灯りが点くのが気になっていた。ある日、ニュースで「その部屋の住人は半年前に死亡」と知る。怖くなってカーテンを閉めた瞬間、スマホに通知が来た。「いつも見てくれてありがとう」窓の外では、暗い部屋の中からスマホの光だけが揺れていた。
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満員電車で押し潰されながら、「次で降ります!」と叫ぶ男性がいた。みんな少しずつ道を開け、彼は必死に人波をかき分けて出口へ向かった。そしてドアが開いた瞬間、彼は何も降りず、ホームの自販機に向かってダッシュした。五秒後、缶コーヒーを持って満足そうに同じ車両へ戻ってきた。
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早朝のコンビニで、毎朝同じ時間にパンを買う女子高生がいた。ある日「受験頑張って」と声を掛けると、店長が青ざめた顔で言った。「その子、三年前に事故で亡くなってますよ」私は手元のレシートを見た。そこには今朝も、彼女の好きなメロンパンが一つ打たれていた。しかも袋は濡れていた。晴天なのに
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終電で寝過ごした私は、知らない駅のベンチで毛布を掛けてくれた老人に礼を言った。朝、駅員に昨夜の話をすると「その人、十年前にホームから落ちた人ですよ」と写真を見せられた。毛布を抱く私の手が震えた。写真の老人が巻いていた赤いマフラーは、今も私の首に巻かれていた。しかも雨で濡れていた。
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毎晩、眠る前に天井から「おやすみ」と声がする。一人暮らしだから気味が悪くて、録音して友人に聞かせた。友人は震えながら言った。「声は一つじゃない。最後に、お前も混ざってる」その夜から怖くて眠れず、朝まで電気をつけていた。けれど明け方、録音にはまた「おやすみ」が増えていた。私の声で。
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終電で帰るたび、向かいのホームに白いワンピースの女が立っていた。昨夜、勇気を出して手を振ると、女も笑って振り返した。今夜、駅員に聞いた。「あの人、毎日いますよね?」駅員は青ざめた。「三年前、そこで飛び込みました」それ以来、終電を一本早めた。でも昨夜から、今度は私の隣に立っている。
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