soyokaze
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父から届いた最後のLINEを、3年間既読にしていなかった。
喧嘩したまま連絡を絶ってた。
向こうから来たのに、無視した。
意地を張ってた。
3年間、既読にしなかった。
でも消せなかった。
毎日通知欄に残ってた。
先月、勇気を出して既読にした。
「元気か。」
それだけだった。
たった3文字だった。
3年間、未読のまま置いてた言葉が、たった3文字だった。
震える手で返信した。
「元気だよ。」
送った。
3年越しの返信だった。
1分後、既読がついた。
固まった。
3年間、既読にしてなかった。
なのに1分で既読がついた。
「待ってたの?」
少し間があった。
「毎日見てた。」
「3年間?」
「3年間。」
怒鳴られると思ってた。
泣かせてしまうと思ってた。
でも次のメッセージが来た。
「今日、飯でも食いに来るか。」
3年間待ってた人間が、責めなかった。
謝れとも言わなかった。
飯でも食いに来るかと言った。
実家に帰った。
父が玄関で待ってた。
何も言わなかった。
ただ、飯を作ってくれてた。
3年分作ったのかと思うくらい、たくさん作ってくれてた。
全部食べた。
全部食べてから、やっと泣いた。
「なんで怒らないの。」
「怒ったら、また来なくなるだろ。」
3年間、また来てくれることだけを待ってたらしかった。
元気かの3文字が、3年間届くのを待ってたらしかった。
帰り際に父が言った。
「また来いよ。」
「来る。」
「今度は3年後じゃなくていいからな。」
笑えた。
3年間、笑えてなかった分まで笑えた気がした。
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