AkiRyusui_
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アニメショップ店員な人妻さん
ショートストーリー
二次元と三次元の境界線(レジ越し)
【お客様(独身男性)視点】
休日の秋◯原。俺は胸の高鳴りを抑えきれずに、リアルアニメショップのレジ列に並んでいた。
手にあるのは、SNSでバズりにバズりまくっている話題の新作『いけない!人妻さん』。
順番が来て、レジカウンターへ進む。
そこにいた店員さんを見て、俺は思わず息を呑んだ。
(えっ……嘘だろ?)
白いタートルネックに、アニメショップのブラウンのエプロン。
そして何より、その清楚で柔らかい笑顔。
手元の同人誌の表紙に描かれた「人妻さん」と、目の前の店員さんが完全に一致しているのだ。
コスプレ店員なのだろうか? だとしたらクオリティが高すぎる。
レジ横には彼女を模した小さなねんどろいどが「おすすめ!」という看板を持って立っており、その後ろには『いけない!人妻さん』が山のように積まれている。
「いらっしゃいませ。こちら一点でよろしいでしょうか?」
鈴を転がすような、優しくて甘い声。
俺が緊張してコクリと頷くと、彼女は天使のような微笑みを浮かべてバーコードを読み取った。
レジのディスプレイに『いけない!人妻さん ¥1,320』と表示される。
(あぁ、なんて癒される笑顔なんだ。この本を買って、この笑顔を見られただけで、今日ここに来た甲斐があった……!)
俺はデレデレとだらしなく緩みそうになる顔を必死に引き締めながら、財布を取り出した。
【店員(人妻さん)視点】
「いらっしゃいませ。こちら一点でよろしいでしょうか?」
私は、口角を完璧な角度に上げた「営業用・清楚スマイル」を顔面に貼り付けたまま、目の前の男から本を受け取った。
(……またこの本。今日だけで何冊目よ、これ)
心の中では盛大な舌打ちをしている。
手にあるのは『いけない!人妻さん』。なぜか私自身をモデルにされた、非常にけしからん内容の薄い本である。
なんで私が働くシフトの日に限って、レジ横にこの本が山積みになっているのか。しかも、ご丁寧に私のねんどろいどまで販促ポップを持たされて。店長の嫌がらせとしか思えない。
目の前の独身男性は、私の顔と表紙を交互に見て、あからさまに鼻の下を伸ばしている。
(うわぁ……ニヤニヤしてて気持ち悪い。どうせ家に帰って、この本読みながら私のこと……ひぃぃ、想像しただけで鳥肌立つ!)
脳内では汚物をを見るような蔑んだ目を向けているが、態度はあくまでプロの店員だ。ピッ、とバーコードを読み取る。
「お会計、1,320円になります」
(こんな薄っぺらい妄想本に1,300円以上出すとか正気? まぁ、こっちの売上になるからいいけどさ)
男が妙にソワソワしながら差し出したお札を、なるべく指先が触れないように受け取る。
お釣りとレシート、そして男の煩悩が詰まった本を袋に入れ、両手で丁寧に差し出した。
「ありがとうございましたー。またお越しくださいませ」
(もう二度と、そのニヤけた顔で私のレジに来ないでよねっ!!)
心の中の猛烈な毒づきを完璧な笑顔の下に隠し、私は次のお客様へと視線を向けた。
SFW ai illustration.

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