

祖川@BizOps協会(テイクアステップ/AnityA)
2.9K posts

@Shisoji
一般社団法人BizOps協会代表理事。https://t.co/02sbeXCfz7 BizOpsの概念を広め、BizOps推進者の協力関係を作り、企業の生産性に寄与していく。note:BizOps戦略室 株式会社テイクアステップ代表取締役。BPR / IT(MA、SFA、販売管理等) の専門家。お気軽にご連絡ください。







自分で会社を作ってから、そろそろ5年が経つ。 中小企業白書によれば、起業から5年後に生き残っている会社は約8割、裏を返せば5社に1社は消えていく世界らしい。 数字の真偽はさておき、ひとつの区切りなので、ここまでのストーリーを書き残しておきたい。 きっかけはサラリーマン時代。 事業横断のプロジェクトやPMI、グループ全体の施策に関わるうちに、「会社ってどう作られて、どう動いてるんだろう」というプロセス自体に興味が湧いた。中の仕組みを外から眺めるんじゃなくて、自分で組み立ててみたくなった。 それで自己投資のつもりで、一人で会社を作ってみた。最初は器だけ。何を詰め込むかも決まっていなかった。 でも作ってみると、今まで縁のなかった世界と一気につながる。 法務局、公証役場、信用金庫、税務署。書類の一枚一枚に意味があることを体で知る。 副業として小さなビジネスを始めて、営業から経理、管理会計まで全部自分でやった。 PLとBSが「教科書の図」から「自分の数字」に変わる瞬間がある。国の制度や税金、借入の作法も、必要に迫られて少しずつ理解していった。 そして痛感したのは、会社をやるって基本的にトレードオフの連続だということ。 ・お客様と会社の契約:金額、納期、品質、責任範囲。どこかを取ればどこかを譲ることになる ・会社と発注先の契約:安く早くを求めれば品質や関係性に響く。長く付き合うには適正価格を払う必要がある ・信用金庫と会社の取引:借りれば動ける幅は広がるが、返済義務と信用は表裏一体 ・国と会社の税金:節税すれば手元に残るが、決算書の見栄えや借入余力に効いてくる サラリーマン時代は「何を取るか」だけ考えていればよかったけど、経営者は「何を捨てるか」を毎回決めないと前に進めない。この感覚は座学では絶対に身につかなかった。 途中、同じような考えで会社をやっている人たちに出会えたのも大きかった。社外にこういう人がいるんだと知れただけで世界が広がる。 ありがたいことに紹介で仕事もいただけるようになった。あるときBizOpsという言葉に出会って、「自分がサラリーマン時代からやってきたのはこれだったのか」と腹落ちした。点と点がつながった感覚。 気づけば、会社という器でちゃんと家族を養えるところまで来ていた。 会社を作ると、国と会社の接続が見える。経営者が何に興味を持ち、何に怯え、何で動くのかが想像できるようになる。 そして何より、1円の重みを実感する。経費は使うものじゃない、売上を作るためのものなんだと、頭ではなく手で覚える。 だからサラリーマンこそ、自己投資として一人で会社を作ってみるのはアリだと思う。潰れても誰にも迷惑をかけないし、本業がある分、生活の保証もある。リスクは限定的なのに、リターンはやたらと大きい。 ・国と会社の接続を体験できる ・PLとBSの関係が体で理解できる ・あらゆる取引がトレードオフだと腹落ちする ・経費の重みが体に染みる ・「会社で何かやりたい」という衝動が芽生える 知ると理解の間が大きいし、視座を上げろ!とよく言われるけど、当事者にならないと見えない景色は本当にある。これほど実践的な投資はないと思う。 ただ、この経験は勤めている会社の中からは絶対に出てこない。それだけやる気のある人に独立されたら困るし、人事制度の設計者もそこまでスコープに入れていないだろうから。 だからこそ、自分で踏み出すしかない。 会社を作るって、ビジネスを始めるというより、世界の解像度を上げる行為だったんだなと、5年経った今になって思う。


