Tircis
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献血問題について。 細かいところはフェイク入れまくってぼやかしますが、以前経験した症例を紹介します。 私が研修医として麻酔科をまわっていた時に出会った、8歳か9歳かの女の子。お腹がパンパンに大きくなっていました。肝臓癌の一種です。 教科書などには「適切な治療が行え『られれば』、予後は5年生存率約70%と『良好』です」と書かれています。 治療ができたら予後良好。それでも5年後に生きていられるのは10人に7人程度。その裏には、治療ができないほど癌が大きく、手の施しようがないまま緩和治療に移行する子たちがいます。 私が出会ったその子は、肝臓の腫瘍が大きくなりすぎ、肺を下から圧迫して息ができない状態になっていました。そのため命を救うため、手術で肝腫瘍を切ることになりました。本来なら手の施しようのない状態で、教科書的には手術適応外です。手術をすることで患者を殺してしまう可能性が高いためです。でも当時の主治医グループは家族とも綿密に話し合い、手術を選択しました。このまま息ができず苦しみ続けながら死ぬのを見たくない。このままだと数週間で死んでしまうから、せめてしっかりと空気を吸える状態にしてあげたい。御家族はそうおっしゃられ、成功率が高くないことは百も承知で、手術中にそのままお亡くなりになる可能性も非常に高いですが、手術が行われることになりました。 手術室の入り口にある家族が入れる最後の場所で、物も言えず苦しそうに呼吸器に繋がっている患者の女の子の小さな手を握るお父さんとお母さんの顔は今も忘れられません。 そうして始まった肝腫瘍切除術は壮絶なものでした。肝臓は身体中の血液が集まってくる実質臓器です。中身が詰まっている臓器です。胃や腸はストローみたいなもので中は空洞ですが、肝臓は中身がスポンジのように全部詰まっています。つまり、前者に比べ後者は切れば切るほどどんどん出血してしまうのです。そのため切っては血管を探り、結んで止血したり焼いたりしながら切除していきますが、それでも大量に出血します。 そこで必要となるものが輸血です。外科の先生が必死で切って縫って焼いている間、どんどん失血していく患者の命を繋ぐため、麻酔科が輸血を行います。 その時の症例では、摘出する肝腫瘍が10kgを超えかねない超巨大腫瘍でしたから出血量も非常に多く(下に参考資料として獨協大学小児科様のHPのリンクを載せていますが、この中の一番上の症例写真の腫瘍の1.5倍以上大きかったです)、輸血を120単位行いました。 輸血(献血)の単位は1単位200mLです。120単位だと24000mL=24L。人間の血液量は体重の約8%前後ですから、60kgの大人の血液量は約5L弱となります。つまりこの子は大人5人分の血液が必要でした。 献血でいただける血液は、一般的に2単位(400mL)です。この子を助けるため、60人の方が協力していただいたわけです。 その子は手術が無事終わった後も半年以上ICUにいましたが、呼吸器も不要になって笑顔で両親と再会できました。その頃には私は研修医を終えて内科医として働いていたのですが、たまたまその子が院内のコンビニに自力でスタスタと歩いて来院し、両親と笑顔で買い物をする姿を遠くから見て、心が暖かくなりました。 これはすごく特殊な例ですが、皆様が献血していただいた血液は余すことなく誰かの治療と笑顔につながっています。その子も御両親も、助かったのは献血をしてくださった方のお陰であることは聞いていないかもしれません。 でも、皆様のお陰で1人の子供の命が救われたことは紛れもない事実です。献血をした1ヶ月後に道ですれ違った人は、もしかしたらあなたが命を救った人なのかもしれないのです。 献血をしてくださる皆様のお陰で、今日も多くの人が救われています。献血をする人はアンパンマンと同じです。身を切って誰かを助けています。そしてアンパンマンよりも尊いことに、目の前で分け与える訳ではないので誰にも賞賛されません。ですが間違いなく誇ってもいい英雄的行動なのです。 たとえ何かの記念品目当てだったとしても、その記念品は命を救われた患者様と医療従事者からの感謝の気持ちが形になったものですから、胸を張って受け取ってください。 1人でも多くの人を救うため、これからも皆様の献血を心よりお願いいたします。 [参考ホームページ] dept.dokkyomed.ac.jp/dep-k/ped_surg…

























