MJ|高配当株分析官@motohake
【オリエンタルランドが下がる理由】
年初来安値を更新し、2,200円まで到達。
ファンタジースプリングス開業から2年。本来なら投資を回収し、利益が跳ね上がるはずの今、なぜこれほどまで売られるのか?
4/28の決算を読み解くと、そこには夢の国が直面している、極めて現実的な構造変化が見えてくる。
---
1. 量から質へ
かつて、オリエンタルランドの成長戦略は明快だった。「入園者数3,000万人」という数字を追いかけ、新しいアトラクションを導入しては、詰め込めるだけ客を詰め込む。つまり「量」のゲームだった。
しかし、この物理的な限界が訪れた。
24年の「ファンタジースプリングス」は、残された大規模な開発用地を使い切る最後にして最大のカードだった。
もう、かつてのように空いた土地に新しいパークを作ることで入園者数を劇的に増やす成長策は、物理的に描けない。
そこで同社は、戦略を「量」から「質(単価)」へと180度転換した。
---
2. 質の限界
入園者数をあえて絞ることで混雑を抑え、その代わり一人あたりが支払う金額を最大化する。
実際、最新決算でも客単価は過去最高を更新している。しかしその単価はどこまで上げられるのか?
いまや繁忙期にな10,000円を超えるパスポート。DPAこと有料ファストパスを前提としたパーク体験。
家族4人の1日レジャーに10万円を費やすモデルは、日本人の実質賃金の伸びに対して限界点に達しつつある。
---
2. 来期「増収減益」の見通しが示すもの
売上高は7,243億円(2.8%増)と増えるものの、営業利益は1,607億円(4.5%減)と落ち込む。
この「増収減益」というシナリオは、成長株として評価されてきた同社にとっては手痛い。
理由は極めて現実的だ。
①莫大な減価償却費
FSへの3,200億円という巨額投資が、今まさに重いコストとなって利益を圧迫している。
②人件費の構造的上昇
深刻な人手不足を背景とした賃金引き上げ。今や最低でも時給は1500円に近い。これは一時的なものではなく、今後も経営を縛り続ける固定費となる。
新エリア開業のご祝儀期間が落ち着いた今、市場は数字を直視し始めている。
---
3. 「海」への期待と、遠すぎる収益
「陸(パーク)」に開発余地がないからこそ、同社が打ち出した次なる一手は「海」だった。
2028年度に就航を控えるディズニークルーズ事業だ。投資額3,300億円。パーク事業に匹敵する柱を作ろうという執念は感じる。
だが、今のマーケット環境では、2年先の果実はあまりに遠い。
金利上昇が意識される地合いの中、船体建造費が先行するこれからの2年間は、多額の資金が流出するだけの「耐える時期」だ。
この空白期間を、今の割高なバリュエーションで維持するのは容易ではない。
---
4. 評価の「適正化」はまだ終わらない
これまでOLCの株価を支えていたのは、PER 100倍を超えるような一種の魔法じみた成長期待だった。
それが今、30倍程度まで調整されてきた。これは単なる下落ではなく、同社が「グロース株(成長株)」から「クオリティ株(高収益な成熟株)」へと、市場の評価が書き換えられているプロセスだと見るべきだろう。
上場30周年の特別優待としてパスポートの配布も発表されたが、この評価の変化を止めるには力が足りないのかもしれない。
---
5. 来い‼︎ディズニースカイ‼︎‼︎
今のディズニーの状況は、焦って飛びつく時期ではないと思う。
単価上昇の限界をどう突破するのか?
あるいはクルーズ事業が本当に「第2の創業」となり得るのか?
市場が同社を「普通の優良株」として完全に飲み込み、悲観の中でPERがさらに沈んだ時こそ、再び魔法がかかるタイミングなのかなと思っている。
……と、ここまで真面目に分析してきたけれど、実は個人的には、株価をV字回復させる「究極のウルトラC」を20年前からずっと待ち望んでいる。
それが、「ディズニースカイ」構想だ。
「陸(パーク)」に土地がない。
なら、残された場所は一つ。
「空」だよ‼︎‼︎‼︎
ポートディスカバリーからストームライダーに乗って、そのまま雲の上のパークへ。
そこなら開発余地は無限大、文字通り「空前絶後」の客単価を叩き出せるはず。
もちろんただの妄想なのだけど…
いや、突拍子もない夢を「もしかしたら……」と一瞬でも思わせてくれるのが、この会社の本来の魅力だったはずだ。
今の厳しい現実を乗り越えて、また「空でもなんでも、この会社ならやってくれるかも」と思わせてくれるような、ワクワクする次の一手を期待している。
とりあえず私は引き続きパークに通いながら応援してます。がんばれディズニー。
※投資判断はあくまで自己責任で。先にUSJがワンピースコラボで空島を作っても責任は取れないのであしからず。