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備蓄米放出 随意契約手法の発案者についての検証。公明党所属高橋みつお議員ないし公明党の発案という情報は正しいか。
昨年からのコメ価格高騰に対し、消費者の悲鳴が聞こえてきたが、政府は2025年初頭から、備蓄米を活用したコメ価格の安定政策を打ち出してきた。その一つの手法である今般備蓄米の放出は、6月中旬には一定の効果をおさめている。
ところで、この備蓄米放出に関し、ネット上では、その発案者とも言うべき情報に錯綜がみられる。すなわち、与党公明党ないしその所属議員が発案者であるというものである。そして、「この情報も、同党所属の参議院議員高橋みつお氏が提案したというものから、公明党自体が提案したというものまでバリエーションが確認できる。
ところが、報道では、官邸ないし石破総理周辺の自民党執行部からの発案であるような記事もある(1)。東京都議選、参議院議員選挙の前という事情もあり、政党の過剰なアピールというだけの可能性もあるが、ネット空間に展開した情報は、近年利用を増すAIが参照する情報元であって、実際にXのGrokは、SNSに基づく見解を示し続けた。
これはAIの調査能力の限界を示すとともに、SNSで多数情報がまん延した場合に、誤った情報が固定的になる危険を示唆するものである。SNSでの情報適正の確保はIT時代に必要性を増すものであり、SNSでの選挙活動でも取り締まりが強化されようとしているが(2)、本件でいえば、SNS情報の適正とは、今般備蓄米随意契約の発案者が誰であるかに帰趨しよう。
そこで、本稿では、公開されている国、報道機関の資料に基づき、公明党所属の高橋みつお参議院議員が「随意契約」を提案したか、公明党が「随意契約を政府に発案し、リードした貢献があった」かの2点を検討する。
1.高橋みつお議員が「随意契約」を提案したか
まず、しばしば引用される小泉答弁についてだ。小泉農水相は5月28日に次のように答弁しており、これをもって「高橋みつお議員が随意契約を提案した」という主張だ。
(5月28日小泉答弁)
▷ 随意契約という手法について、ま、一つのご提案を頂いた公明党の高橋みつお議員、えー、こういった新しい発想のもとで様々な議論が生まれ、そして今回私も随意契約を活用させていただく
shugiintv.go.jp/jp/index.php?e…
(13時26分~)
youtube.com/watch?v=QYHibA…
(KYODO NEWS 4:32:37)
しかし、この答弁は2つの意味に解せる。
(1) 「随意契約という手法について、ま、一つのご提案を頂いた公明党の高橋みつお議員」までを続け、ここで文章を切るもの。
(2) 「随意契約という手法について」でいったん置き、「一つのご提案を頂いた公明党の高橋みつお議員、えー、こういった新しい発想のもとで様々な議論が生まれ」までを続けて読むもの。
どちらが適切か、下の2つを手掛かりとして解釈する。
〈手がかり ➀〉
まず、発言内容を手掛かりに検証する。小泉答弁では、高橋みつお提案を「新しい発想」と評している。しかし、「随意契約」そのものは従前からあり(アベノマスクも随意契約)、また、備蓄米放出に関しても、次のとおり農水省で1月に認識されていた。
(竹内企画課課長補佐)
▷ これは私どもの備蓄米は入札か、あるいは随意契約になりますけれども
maff.go.jp/j/council/seis…
(令和7年1月31日、食料・農業・農村政策審議会食糧部会議事録より)
上記を踏まえると、「随意契約を新しい発想」と解することは不自然で、小泉大臣の言及は他の内容とみるべきだろう。
〈手がかり ②〉
次に、小泉答弁までの経緯から探る。小泉氏の答弁に先立ち、質問者角田氏は、次のとおり発言していた。
▷ 公明党の高橋みつお参議院議員が昨年に行った提案がその切っ掛けになっていると、5月19日の参議院予算委員会で石破総理がその旨答弁をされておりますけれど、こうした新たな備蓄米の活用によって…
質問と答弁という関係上、小泉答弁は角田氏の上記質問を受けてなされたものと考えられ、答弁の高橋みつお氏の提案が「昨年のもの」で「5月19日の参議院予算委員会で石破総理が」言及したものとわかる。
では、その昨年の高橋提案とは何か。5月19日の石破答弁とみれば、「12月19日参議院の農林水産委員会におきまして、御党の高橋みつお議員からご指摘を頂きました」と、12月19日参議院農水委員会での提案と知ることができる。
youtube.com/watch?v=nrP-QR…
(5月19日石破答弁01:39:30から)
そこで、12月19日同委員会の議事録を確認すると、次のとおりだ。
(高橋みつお氏)
▷ 今回のような米の需給逼迫の兆候を察知しましたら、まず備蓄米を民間在庫に貸し出します。これは放り出すんではなくて、貸し出します。そして、例えば一万トン、それを受けて、卸売などの民間在庫から小売業者に米を提供できるようにしていく。つまり、民間在庫を押し出すことで、スーパーなどでも消費者に提供可能となり、需給が改善することが期待できます。そして、貸与した一万トンにつきましては、例えば六か月後など、この需給が改善した段階で備蓄米に返還してもらうようにする
要約すれば、「ひっ迫の兆候を察知したら、備蓄米を卸などの民間在庫に貸し出し、そこから小売りに提供し、後日返還してもらう」というアイデアであって、ここには「随意契約」という言葉もなく、その内容も今般「随意契約」手法と異なるものだ。
今般小泉米手法は、➀随意契約で、②直接小売りに販売し、➂返還もなく、④標準小売価格を公示するもの。この4点は重要だ。この4点に言及もなく、12月19日参院農水委員会で高橋みつお氏が「随意契約」を提案したと評価することはできない。
したがって、小泉答弁の「ご提案を頂いた公明党の高橋みつお議員」のくだりの提案を「随意契約」のことと解することはできない。すなわち、小泉答弁では、高橋氏ないし公明党が「随意契約」を提案したとは言っていないことになる。
加えて、高橋氏の12月19日参院農水委員会での提案が、3月に実施された1回目から3回目までの備蓄米放出(江藤米)の手法に類似しており(卸に放出、買戻し前提)、その実施の結果を見ずに「随意契約を提案することは不自然」であるから、結果の現れ始めた3月末から4月上旬前に新たに提案したということも考えられない。また、公開されている情報からは、高橋氏が他に提案をした様子はうかがえない。
したがって、高橋みつお氏が備蓄米放出について、少なくとも政府にリードする形で「随意契約」を発案しなかったというべきである。
2.公明党は随意契約を政府に発案し、リードした貢献があったか
上述のとおり、小泉発言の「ご提案」とは、高橋みつお氏の提案を指していた。したがって、小泉発言から「公明党が随意契約を提案」したということにはならない。しかし、公明党独自に随意契約を提案した可能性は否定できない。そこで、その点を調査するとめ、公式の記録を確認したところ、6月9日に参議院決算委員会で公明党の下野六太氏が次のとおり発言していた。
▷ 23日に小泉大臣に、緊急提言・要請を角田部会長を中心に持って行きました。…部会長には、大臣に直接伝えてほしいというのが、この随意契約の話でした(2025年6月9日会議名決算委員会)
youtube.com/watch?v=s9b9oK…
(2時間22分57秒から)
下野氏の公式の発言に基づけば、公明党として政府に「随意契約」の提案をしたのは、23日角田農水部会長経由ということになる。また、同発言からは、提案自体はなされたが、それは高橋氏からではなく、党としてのものと理解できる。
ところで、小泉農林水産大臣は5月21日夜、農林水産省での就任会見において、石破総理大臣から随意契約を活用した備蓄米の売り渡しを検討するよう指示を受けたことを明らかにしている。
www3.nhk.or.jp/news/html/2025…
公明党は「随意契約」を提案が5月23日であり、5月21日の小泉氏農水相就任時には、総理からすでに「随意契約」にすべき指示が出ていたのだから、公明党の提言は、すでに決定され、実施途上のものを提言したに過ぎないことになる。
以上の点を踏まえると、今般随意契約手法(小泉米)について、公明党が発案し、リードした貢献があったと評価することはできない。
3 おわりに
以上、検討した結果、今般備蓄米放出において随意契約手法を用いたことにつき、高橋みつお参議院議員がそれを提案、または、公明党がその手法を発案・リードしたということはできないとわかった。
SNS(X 旧Twitter)では、6月27日現在も、高橋みつお氏ないし公明党の発案・リードとの情報が流れ、SNSでの情報の適正が図られているとは言えない。事実ではないネガティブ情報により被選挙人が想定外の損害を受けることも問題だが、事実ではない(あるいは、適正評価ではない)ポジティブ情報により、被選挙人等に有利な条件を与えることもネット社会のゆがみではある。選挙の公正を考えるなら、ポジティブ情報の扱いにも留意したいところである。
注:
⑴テレ朝NEWS:「小泉流”低価格販売の舞台裏 随意契約“導入”…水面下の“攻防”とは? コメ価格全体に波及するか」
(news.tv-asahi.co.jp/news_politics/… ,2025年6月28日検索)
⑵ NHK.「村上総務相 参院選めぐりSNS運営事業者に“偽情報”対応要請」
(www3.nhk.or.jp/news/html/2025… ,2025年6月28日検索)

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