さとぅ
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さとぅ
@dsat0
病院薬剤師→ 仕事辞めて大学院(SPH) → ベンチャーで臨床疫学担当 → 予防医療企業(兼業で在宅医療薬剤師 + 働きながらファイナンス大学院) → 某省(ヘルスケア産業政策)+筑波パブリックヘルス博士課程/ 六年制薬学部卒, UTSPH卒, HUB金融財務卒/88年生, 薬剤師, MPH, MBA





ちょっと任期延長することにしました。











この論文で提唱している金融疫学(financial epidemiology)は、金融化(financialization)が population health にどのように影響を与えるのかを考える学際領域としています。 この金融化(financialization)とは、金融機関・金融市場の影響力、金融利益を追求する動機付けの、経済全体に及ぼす影響力が拡大する現象を指します。 financialization の影響は大きく4つに分けられます。 - 産業構造の変容:金融資本の関与によって農業、教育、住宅、医療などの産業の組織形態や意思決定が変化する。 - 富の格差拡大と金融資本の分配:金融市場の拡大や資本収益の集中によって所得・資産の分布が変化する。 - 家計の経済的不安定性と雇用不安:家計債務の増加や雇用の不安定化が生活条件に影響する。 - 統治・公共サービス・公共財政の変容:政府や自治体が金融活動や金融市場に依存することで政策決定や公共サービスの提供が変化する。 Socioeconomic Status(SES)の話題にもかかるので、社会疫学が近いです。 また、産業にもかかるので、commercial determinants of health の議論にもつながります。 分析は、健康アウトカムや健康の決定要因に関するデータと金融データを結びつけて行います。 例えば、金融市場データ(商品価格、株価、債券利回りなど)、マクロ経済データ(GDP成長率、インフレ率など)、企業財務データ(取引データ、決算報告、財務諸表など)、融資データ(住宅ローン、中小企業融資、信用情報など)などです。 finance 領域は計量経済学の応用研究が多いので、分析手法や定義などはそれらの先行研究を応用することができます。 ただ、financialization のような上流の複雑なプロセスと、個人の身体的経験や健康アウトカムを結びつけて分析することは容易ではありません。 なので、ここの領域の研究を開発する余地は十分あります。なお、論文の Appendix には research question の例が載っています。 finance と epidemiology の両方の知識が必要なので、『ファイナンスMBAとMPHを取った自分の専門領域だ!』....と将来言えたらいいなぁとしみじみ思って読んでました。
