


coffee and headphones
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@headphonecoffee
I just like coffee and headphones. Please don't message me. Because I don’t like it. I suspended my blog that I had been writing until September 2022.












【デモ展示開始】 昨日のNAKANO HAKO試聴会でもご好評をいただいた「PMG Audio Apx ME」、本日から店頭でもお聴きいただけるようになりました! すでに複数オーダーをいただいてはおりますが、やっぱりしっかり聴いてから考えたい…という方、ぜひ中野へ! ▶ fujiya-avic.co.jp/shop/g/g200000…

独「ArcTec Berlin」日本上陸。第1弾はフラグシップ平面磁界型ヘッドホン「AB 92」 phileweb.com/news/d-av/2026…

Camertonが日本に入ってきて、ちょうど1年が経ちました。最近、次の製品についてご質問をいただくことがあります。 結論から述べると、近い将来新しいヘッドフォンの予定はありません。ただ、それにはCamertonらしい理由があります。 Binom-ERという製品自体はもともと2021年からヨーロッパで展開されてきた製品です。同じ名前を持ちながら、ユニットフレームを薄い金属プレートからソリッドカーボン構造へ刷新し、ドライバーハウジングへのアコースティックフォームの追加、パッドの大型化と選択肢の拡充など、継続的なアップデートを重ねてきました。そして2024年後半に現在の形へと至りました。日本に入ってきたのはその最新版であり、私たちはその現在地を扱っています。 各サブシステムを独立して改良できるブロックモジュール設計を採用しているこの製品には、既存のオーナーも将来のアップデートを受けられるプログラムが存在しています。近くで接してきた者として確かなことをお伝えすると、メーカーとしてはまだBinom-ERに取り組む余地があると考えています。つまり、この製品はまだ動いている。 ハイエンドオーディオの世界では、新製品が次々と登場します。それ自体を否定するつもりはありませんが、Camertonというブランドはそのサイクルに乗ることを目的としていません。新製品で購買を煽るようなスタンスは、このブランドの哲学ではない。 Binom-ERの時間を、Camertonはまだ大切にしています。 だからこそ、じっくり吟味してください。いつ手にしても、その時点でのCamertonの最高が、そこにあります。 #Camerton #BinomER







■EMPIRE EARSが事業停止して思うこと EMPIRE EARSが事業停止を発表した。私はODIN mkⅡを購入する際、保証期間を5年間に延長したが、現実にはわずか半年でその保証は終了してしまったことになる。 まさか、このような事態が起きるとは、誰一人として予想できた者はいないだろう。 昨今のオーディオ市場の状況を踏まえつつ、EMPIRE EARSの音作りを振り返ると、創設者であるDean Vang氏の強いこだわりと揺るぎない姿勢がひしひしと伝わってくる。これは以前、ODIN mkⅡを聴いた際の個人的な印象でも語ったことだ。例えるなら、業界を席巻するchi-Fiが手軽に楽しめるファミリーレストランだとすれば、EMPIRE EARSは一見敷居が高いものの、通好みの高級割烹のような存在である。こちらが食べたいものではなく、店主が食べさせたいものを作る。こだわりは変えず、頑固さこそが、音の個性であり、ブランドの雰囲気でもあるのだ。当然、高額なため、それに対して変わった音だという印象を受ける人もいるだろう。 今回の事業停止の真意は、公式なアナウンスがないため、まだ明らかではない。海外のオーディオコミュニティでは、創設者の健康上の問題が継続困難であり引退の理由とする声もあれば、それは突然事業停止を正当化するための理由で、高額すぎて買わないためという声もある。私は健康上の問題もあれば、一方で、資金面の事情も見逃せないと感じている。もし事前に告知していれば、全世界の代理店や販売店の在庫状況などに対応する必要があり、膨大な手間とお金がかかるからだ。こうした背景も、突然の発表に至った理由の一つと考えている。 しかし、創設者がどれだけ音に対する想いやこだわりが強くても、現実的な仕入れコストの高騰や諸経費の増加を考えれば、経営が厳しくなるのは自然な成り行きだろう。このような場合、普通なら、エントリーモデルを作って敷居を低くして、そこから資金を集めてフラッグシップモデルに回すのが一般的だろう。多くのオーディオメーカーは、エントリーモデルを用意して、そこから自社ブランドを知ってもらうことで窓口を広げている。価格はフラッグシップモデルに比べると手ごろだが、自社ブランドを名乗るにふさわしい音とはまだ距離がある。しかし、そうして上位グレードへの関心を引き出すのだ。VISION EARS や NOBLE AUDIOも昔とは違い、方向性を変えてエントリーモデルに力を入れ始めてきている。 しかし、EMPIRE EARSは頑固さが強かったためか、10年間で1度もそのような手段を取らなかった。リリースされた販売モデルは全てがコンセプトを追求する一品料理のような形だ。恐らくはこれらも創設者本人の決断によるものと推測される。 ポータブルオーディオ業界はオーディオ業界の中でも競争が激しく活気もある。しかし、決してどのメーカーも安泰というわけではない。EMPIRE EARSのような事例は、いつ起きても不思議ではないのだ。カーオーディオやホームオーディオ、そしてポータブルオーディオに至るまで、各メーカーは資金繰りに工夫を凝らしている。例えば、ある韓国のDAPメーカーは、限定版として多彩なカラーバリエーションを販売することで、新規開発のコストを抑えつつ利益を確保する戦略を取っている。フラッグシップモデルの販売サイクルも約3年と他社に比べて早い。これは韓国のDAPメーカーだけでなく、以前は高級カーオーディオと称する国内メーカーも同じことを繰り返していた。カラーバリエーションを増やして売り上げを計ることはよくある手法だ。実際、EMPIRE EARSもREVENにおいて同じことを行っていた。 私見だが、EMPIRE EARSは、2024年にAstell&KernとコラボレーションしNOVUSを発表したあたりから、資金繰りが厳しいのではないかと感じたことがあった。強い違和感ではなく、本当に些細な違和感だ。あの音にこだわりの強いEMPIRE EARSが、二度も連続でコラボレーションという形に加えて、限定版としてフラッグシップモデルを発表したからだ。普通、限定版をフラッグシップモデルとして発表した場合は、それに改良を加え、コスト面や生産・流通の確保を考慮したうえで、量産モデルを販売するケースが多い。限定版はマーケティング調査の意味合いも含まれているからだ。 コラボレーションは、必ずしもではないが費用の多くを相手側が負担してくれるという面が大きい。そのため、開発費や制作費をある程度確保できる余裕が生まれる。自社でバリエーションを増やすという意味でも、音の研究や開発に充てることが可能でありながら、コラボ商品として宣伝にもなる。一方で、自社ブランドとしての自由度は制約されて、相手側の音質要求を受け入れる必要がある。 いまとなっては憶測にすぎないが、二度目のコラボレーションを後押ししたのは、息子のJack Vang氏ではないかと思う。むしろ、EMPIRE EARS側からコラボレーション側に案を持ち掛けた可能性もある。音へのこだわりを考えれば父のDean Vang氏は乗り気ではなかったものの、EMPIRE EARSの運営状況を踏まえれば、この手段が最善であり苦肉の策だったのではないかと感じる。88万円という高額な価格設定、Jack Vang氏が担当した点など、EMPIRE EARSらしくない点が多々ある。いま思えば、この時点でお互いの方向性はほぼ決まっており、事業停止を決める前兆だったように感じる。VOLK AUDIOを立ち上げる決意はすでに確固たるものになっていたのではないかと私は推察している。あくまでも推察であり、憶測だ。 個人的には、EMPIRE EARSは米国らしい熱量のある音作りがポータブルオーディオで楽しめることに魅力を感じていた。ODIN mkⅡ発表時、創設者Dean Vang氏は「今作に心血を注ぐ」と語り、フラッグシップモデルはこれ1機種に絞ると明言していた。当然、2026年もフラッグシップモデルが発売されると思っていただけに、今回の事業停止は非常に残念でならない。 ポータブルオーディオ業界の音は、この10年で飛躍的な進化を遂げた。しかし、近年の音は、10年前のカーオーディオやホームオーディオの音の傾向に似てきているとも感じる。いわゆる音の定位が明確で、各帯域の繋がりが滑らかなサウンド。簡単に言えば「整った音」が主体となっている。売れ線ではあるが、音の感動や個性が希薄になりがちである。NOBLE AUDIOのフラッグシップモデルでさえ、その方向性を強めてきた。 整った音作りには安定感と高い評価がある。しかし、今よりも高みの音に触れた際に、それまでの音に対する感動が薄くなるという欠点もある。つまり、それ以上の音を出すモデルと出会った際に価値を見出すのが大変になるのが整った音を出すモデルの欠点だ。 昔の例で言えば、ドイツ車と比べられたトヨタ車の評価に近いだろう。全体の性能としては80点だが、ドイツ車のようにエンジンフィールや操縦性で「感動する体験」「運転する楽しさ」がないため「100点ではない」といった具合だ。いま、ほとんどのポータブルオーディオメーカーの音はその路線に集約されつつあるように感じる。 メーカーブランドとしての音も提供したいが、そもそも売れなければそれを実現することはできない。その狭間に立たされている。 しかし、それはポータブルオーディオ業界だけの話ではない。現在、ホームオーディオでは、整った音を出すことは必然となり、メーカーは空間表現力や音像の中で、演奏者の熱意やパッション、音の精密さをいかに伝えるかが大切になっている。自社ブランドの価値を価格に上乗せすることで、音に品格を与える超高級路線へとシフトする例もあり、メーカー独自の高級税が新設されたと言っても良いだろう。 つまり、これまでのホームオーディオやカーオーディオの時系列を見れば、まず機材が音域をしっかり出すことが重視されて開発される。やがて将来的に整った音が仕上がった機材が流行する。しかし、整った音も時が経つにつれて普通の音と感じられるようになり、整った音を崩さない上での熱意を感じる音が求められる。さらにその後には、それを崩さない上で実像を感じる洗練された音が求められる。要は整った音 → 楽しい音 → 整った音、このサイクルが繰り返されるのである。 ポータブルオーディオ業界においては、音域をしっかり出せるようになりつつ、今は多くのハイエンドモデルが整った音が主体だが、2年後にはそれを維持したままメーカーならではの楽しさがあることが前提となる可能性が高い。いや、実際にはすでにその取り組みは始まっているだろう。 そのような流れを汲み取れば、EMPIRE EARSのようなこだわりの音作りが消えることは、やはり大きな衝撃である。 過去、ホームオーディオやカーオーディオの世界では、ピュアオーディオやHi-Fiオーディオが確立されるにつれて、熱量のあるメーカーは徐々に廃業していった。理由は明快で、面白みのある音作りをしても、メーカーごとの音の個性がユーザーの好みに合わず、一定の支持を得られなかったためである。楽しい音ほど好みが分かれて、購入の差は激しい。しかし、高級で整った音は好き嫌いとは別の感受性、多くの人に受け入れやすい。ある意味では楽しい音と称して粗悪品も存在したことから、市場の淘汰はむしろ健全な傾向でもあった。 ポータブルオーディオの業界は、常に進化のサイクルが尋常ではないほど速く、変化も激しい。今回のEMPIRE EARSの事業停止は、物価高騰や諸経費の積み重ねもさることながら、ユーザー側もハイエンドモデルに対して価格上昇に追いつけない部分の疲弊の表れでもあるだろう。 音に興味があっても、価格を考慮した場合に購入までに至らない。長年ポータブルオーディオを楽しむ人でさえ、現在の価格高騰に呆れている人もいる。 求められる音質と開発コストとのバランスがすでに悲鳴を上げ、限界に近づきつつあることを示した結果のかもしれない。
