

まりんびゅー
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増加を続ける福岡市の人口。要因は他地域からの転入とされていますが、どこから流入・流出しているのでしょうか。先月公開された統計書から転入超過・転出超過フローを視覚化してみると、九州全土から人口を集め、そして関東や近畿に対しては送り出す...という多層的な流れが見えてきます。矢印の幅が 転入超過・転出超過の人数を、矢印の上を流れるドットの頻度がその多寡を表しています。 青いドットが福岡市への転入超過、赤いドットが福岡市からの転出超過です。 九州6県からの転入超過は合計+7,857人。 長崎県+1,858人 鹿児島県+1,469人 熊本県+1,324人 がトップ3で、九州のすべての県から福岡市に人口が流入しています。 北九州市からも+1,221人 山口県からも+820人 と、太い青い矢印が福岡市に向かって収束していきます。 *** 一方、関東方面には△2,267人と最大の転出超過が生じています。 福岡市から関東への転出は13,731人、 関東から福岡市への転入は11,464人。 双方向とも1万人を超える活発な移動がありながら、差し引きでは福岡市が2,000人以上を失っています。 近畿にも△397人 東海にも△15人 と、三大都市圏に対してはすべて転出超過です。 九州各県から集めた人口の一部が、さらに東京・大阪方面へ流れていく構図が読み取れます。 *** ちょっと興味深いのは、糸島市のような、福岡市のすぐ隣の自治体にも転出超過が生じている点です。 大野城市△301人 糸島市△225人 新宮町△151人 福津市△136人 春日市△99人 福岡都市圏の近隣市町村への転出超過は合計△1,256人にのぼります。 九州全土から人口を集めつつ、自らの周縁部には人を送り出している形です。 都心の住宅価格や子育て環境など、さまざまな要因が絡んでいると考えられます。 実情に詳しい方、教えてください...! *** 福岡県内全体でみると、 北九州市から+1,221人 県内その他の市町村から+1,896人 と、県内各地からも大きな流入があります。 福岡県(その他)+1,896人は、久留米市や飯塚市など県内の広い範囲からの転入超過の合計です。 この数値は長崎県+1,858人に匹敵する規模であり、県をまたがない県内移動も福岡市の人口増に少なからず寄与していることがうかがえます。 *** 転入超過・転出超過の全体を俯瞰すると、福岡市の人口の「仕入先」と「卸先」がかなりはっきり分かれているように見えます。 仕入先は、 九州6県+7,857人 北九州市+山口県で合計+2,041人 福岡県内+1,896人。 中国地方(山口除く)+945人 四国+345人 沖縄+310人 も加わります。 卸先は、 関東△2,267人 近畿△397人 そして足元の福岡都市圏△1,256人。 差し引きの純移動は+10,108人です。 約7万人が転入し約6万人が転出するダイナミックな出入りの中で、1万人強が「残る」ことで福岡市の人口が増え続けている計算です。 *** この構造を横浜市と並べてみると、共通点と違いが見えてきます。 横浜市は令和7年の人口増加数が+164人とほぼ横ばいでした。 社会増加数は+18,896人ですが、自然増加数が△18,732人(出生21,831人、死亡40,563人)と大きく、社会増がかろうじて自然減を相殺している状態です。 国勢調査の5年間では△22,651人と78年ぶりの減少を記録しています。 横浜市も周辺の町田市や大和市などに人口を送り出しつつ、他地域からの転入で社会増を維持している点は福岡市と似ています。 ただし横浜市の場合、自然減の規模が大きく、社会増だけでは支えきれなくなりつつあるようです。 福岡市も近年は自然減に転じており、令和6年には△3,308人の自然減が生じています(福岡市人口ビジョン)。 ただし社会増がそれを大きく上回っているため、差し引きでは年間1万人規模の純増を維持しています。 もっとも、その純増の原動力は九州各県からの転入です。 九州各県の人口が減少を続ければ、福岡市に流れ込む人口もいずれ細る可能性があります。 福岡市の人口増加には「九州の人口を集約している」側面があり、九州全体でみれば人口が増えているわけではないということを、私たちは見つめていく必要があるのかもしれません。 *** フロー図上のドットについて補足しておきます。 各矢印の上を流れるドットは、単位時間あたりの出現頻度が転入超過・転出超過の人数に比例するようプログラムで制御しています。 超過が大きいフローほどドットが頻繁に現れ、小さいフローほどまばらになります。 ドットの大きさも人数に応じて変化させています。 演出のためにドットの量を恣意的に増減させてはいません。 なお本分析は、福岡市「福岡市統計書」(令和7年(2025年)版)第3章 人口 第8表「前住地別転入人口及び転出地別転出人口(日本人)」を参照しています。 詳細な数値をお知りになりたい場合はそちらをご覧ください。 フロー図および本稿の数値は、九州各県・山口県・福岡都市圏の各市町村・地方ブロック別の転入超過・転出超過を対象としています。

横浜市18区と周辺自治体の間で、転出が転入を上回っている組み合わせだけを視覚化しました。矢印の幅が転出超過の人数を、矢印の上を流れる赤いドットの頻度がその多寡を表しています。転出先を方面別にまとめると、東京23区方面が合計約2,800人と最も大きく、次いで県央・湘南方面(大和市・藤沢市・ 座間市など)が約1,700人、町田市・相模原市方面が約1,500人と続きます。 東京23区への流出は広く薄く散っているのに対し、町田市・大和市への流出は太いリボンが少数の区から集中しているのが特徴的です。 *** 単一自治体で最大の転出先は町田市で、合計△1,036人です。 その内訳をみると、青葉区から△383人、緑区から△272人、都筑区から△143人と、上位3区で全体の約8割を占めています。 いずれも田園都市線・横浜線沿線の区であり、町田市との生活圏の近さが背景にあるのではないかと推測されます。 ではその町田市の人口は増えているかというと... 2025年は年間+258人の微増だったようです。 ただし内訳をみると、自然増減が△2,932人(出生2,218人、死亡5,150人)に対し、社会増減が+3,190人。 自然減を社会増がかろうじて上回っている構造です。 見方を変えると、町田市の社会増+3,190人のうち、横浜市からの純流入は約1,000人で、およそ3分の1を占めている計算になります。 町田市のわずかな人口増加は、横浜市からの流入に少なからず支えられているのかもしれません。 横浜市は国勢調査の5年間で△22,651人と78年ぶりの減少を記録しましたが、その最大の転出先である町田市もまた、社会増がなければ人口を維持できない同じ構造の上にあるわけです。 *** 2番目の大和市(合計△680人)は、町田市とは対照的な構造をしています。 転出元が13区にまたがっており、瀬谷区△101人、都筑区△68人、泉区△68人、保土ケ谷区△65人、旭区△62人と、市の広い範囲から薄く広く人を集めているようにみえます。 大和市は横浜市の西側に隣接し、相鉄線・小田急線で市内各所とつながっているため、特定の沿線に偏らない流出パターンになっているのかもしれません。 *** 転出元の区に目を移すと、青葉区が合計△1,168人と突出しています。 青葉区の転出先は町田市△383人を筆頭に、大田区△90人、麻生区△62人、大和市△59人、京都市△47人など25の自治体にわたり、近隣から遠方まで幅広く散っています。 次いで緑区△621人、都筑区△584人、鶴見区△419人、港北区△411人と、市の北部・東部の区が上位を占めています。 一方、西区は△48人と最も少なく、横浜都心に近い区ほど転出超過の規模が小さい傾向がみられます。 *** ただし、転出超過の合計が大きいことが、そのまま人口減少を意味するわけではありません。 区の塗り色(純転入超過)をみると、旭区は転出超過の合計が△352人ある一方で、純転入超過は+531人と18区中最大のプラスです。 逆に青葉区は転出△1,168人に対し純転入超過が△1,156人と大幅なマイナスで、転入でカバーしきれていない様子がうかがえます。 転出の「量」と「差し引き」は別の話であり、両方をあわせて見ることで、各区の置かれた状況がより立体的に浮かび上がってくるように思います。 *** フロー図上の赤いドットについて補足しておきます。 各矢印の上を流れるドットは、単位時間あたりの出現頻度が転出超過の人数に比例するようプログラムで制御しています。転出超過が大きいフローほどドットが頻繁に現れ、小さいフローほどまばらになります。 ドットの大きさも人数に応じて変化させています。 演出のためにドットの量を恣意的に増減させてはいません。 なお本分析は、横浜市「横浜市の人口 ― 令和7年中の人口動態 ―」の第15表(移動前・移動後住所地別転入転出者数)を参照しています。 転出超過フロー図および本稿の数値は、市内他区・県内各市郡・東京都区部・町田市・政令指定都市を相手先とする純転出超過20人以上のフローを対象としており、国外や他の道府県の非政令市との移動は含まれません。

横浜市が2025年国勢調査の速報値を発表し、人口が前回2020年から22,651人減少しました。1947年以来78年ぶりとのこと。住民基本台帳をあわせて読むと「転入は過去20年で最大なのに、自然減でほぼ相殺されている」という構造が浮かび上がってきます。まず前提となるのは、国勢調査と住民基本台帳は別の 統計だということです。 国勢調査は5年ごとに「ある時点の人口規模」を把握する静態統計で、今回の-22,651人は2020年10月から2025年10月までの5年間の累積変化です。 一方、住民基本台帳に基づく人口動態は「1年間の転入・転出・出生・死亡の届出」を集計した動態統計で、年ごとの人の動きがわかります。 横浜市はこの二つを同時に発表してくれているので、両方を見ることでより立体的な状況が浮かび上がってくるように思えます。 *** 住民基本台帳によると、令和7年中(2025年1月〜12月)の横浜市の人口増加数は+164人でした。 これは令和6年の+364人に続き、2年連続のプラスです。 内訳をみると、社会増加数(転入-転出+その他増減)が+18,896人で過去20年間で最大となっています。 ところが自然増加数(出生-死亡)は△18,732人で、平成28年から10年連続のマイナス、しかも年々その幅が拡大しています。 社会増は過去最大にもかかわらず、拡大する自然減とほぼ拮抗して、差し引きわずか+164人にとどまっています。 では国勢調査の5年間で-22,651人となったのはなぜなのでしょうか? 住民基本台帳の推移をみると、令和3年に△4,257人、令和4年に△2,434人、令和5年に△375人と、3年連続で人口が減少していた時期があります。 この時期は社会増が自然減を補いきれず、その累積が5年間のトータルに効いているのかもしれません。 *** 社会増+18,896人の中身をもう少し詳しくみてみます。 市外との転入転出を地域別にみると、転入超過(横浜市に入ってくる人が多い方向)となっているのは、他の道府県から+11,106人、国外から+9,695人、埼玉県・千葉県から+1,016人、横須賀三浦地区から+749人、川崎市から+527人です。 一方、転出超過(横浜市から出ていく人が多い方向)となっているのは、東京都区部以外(町田市など多摩地区)へ△1,311人、県央地区(大和市・海老名市など)へ△1,171人、東京都区部へ△1,104人、相模原市へ△567人、湘南地区へ△385人です。 「全体としては大きなプラスだが、近隣の特定方面に対しては人口を失っている」 という構造がみえてきます。 *** この近隣への流出の中身を、住民基本台帳の転入転出詳細データ(横浜市18区と、県内各市郡・東京都区部・町田市・政令指定都市との間の移動者数)からさらに掘り下げてみます。 なおこのデータがカバーするのは上記の相手先に限られるため、国外や他の道府県の非政令市との移動は含まれません。 下の図は、このデータをもとに横浜市18区と周辺自治体との間の転入・転出フローを地図上に徒然研究室が可視化したものです。 リボンの幅が人数の大きさを、地区の色が方向(青が横浜市への転入超過、赤が横浜市からの転出超過)を表しています。 相手先別の転出超過で目を引くのは町田市への△1,117人です。 これは東京都区部全体への△1,104人とほぼ同規模であり、単一自治体としてはかなり大きな数字といえそうです。 その多くは横浜市北部から生じています。 青葉区から町田市へ△383人、都筑区から△143人、旭区から△40人、神奈川区から△39人と、田園都市線・横浜線沿線の区で転出超過がみられます。 青葉区と町田市はもともと生活圏が近接しており、住宅事情や生活環境のさまざまな要因が関係しているのかもしれません。 *** 東京都区部への転出超過も△1,104人と大きな規模です。 世田谷区への△127人、江戸川区への△127人、江東区への△75人、品川区への△59人など、23区の広い範囲に対して転出超過となっています。 この背景には、東京都心部での住宅供給の動向や、働き方の変化にともなう住まい選びの変容など、さまざまな要因が重なっている可能性が考えられます。 ただし、大田区からは+612人の純流入があるというのが興味深いところです。 東京23区との関係は一様ではないようです。 隣接区からの流入と、やや離れた区への流出が混在する複雑な構造がみられますね。 なお住民基本台帳全体では、東京都区部に対しては令和5年から3年連続の転出超過ですが、前年(令和6年)に比べると転出超過数は縮小しています。 *** この転入転出詳細データでは、「横浜市内18区間の移動」もわかります。 区間移動の合計は+14人と「ほぼゼロ」であり、「ある区が増えた分は別の区が減る」という関係です。 区間移動で他区からの転入超過が大きいのは旭区+798人、泉区+591人、緑区+520人、戸塚区+461人、瀬谷区+385人と、市の西部・南部に位置する区が目立ちます。 一方、港北区は市内他区に対して△539人、南区が△481人、中区が△459人と、都心寄りの区から郊外区への流れがうかがえます。 各区の転入転出詳細データ全体での純転入超過(市外相手先も含めた合計)をみると、旭区+531人、戸塚区+305人、瀬谷区+227人、泉区+225人がプラスです。 反対に、青葉区は△1,156人と最も大きな転出超過を示しています。 都筑区が△748人、南区が△652人、磯子区が△538人と続きます。 ただこれらは転入転出詳細データがカバーする相手先(県内各市郡・東京都区部・町田市・政令指定都市・市内他区)の合計であり、国外や他の道府県からの流入は含まれていない点に注意が必要です。 住民基本台帳の行政区別データでも、社会増加数がマイナスとなったのは青葉区(△335人)と都筑区(△317人)の2区のみで、残りの16区はいずれも社会増加数がプラスでした。 一方、自然増加数は全18区でマイナスとなっており、社会増では補いきれない区で人口減少が生じている構図です。 *** 以上の二つの統計を重ねてみると、横浜市の人口をめぐる状況には、いくつかの層がありそうです。 一つは、自然減の拡大です。 令和7年中の自然減は△18,732人で、出生21,831人に対し死亡40,563人。 10年連続のマイナスで、その幅は年々広がっています。 *** もう一つは、社会増の内実です。 横浜市には国外や他の道府県から多くの人が流入しており、特に20〜40代の社会増加数は+17,605人と過去20年で最大です。 しかしその一方で、町田市や東京都区部、県央地区といった近隣方面に対しては人口を失い続けています。 そして、市内18区の区間移動はほぼゼロサムであり、市全体の人口を押し上げる力にはなっていません。 令和7年単年でみれば、社会増が自然減をわずかに上回り、横浜市の人口はほぼ横ばいを保っています。 しかし国勢調査の5年スパンでみると、78年ぶりの減少として表れているわけです。 日本最大の基礎自治体である横浜市ですらこのような状況に突入しつつあることに、あらためて驚かされます。 *** 本分析は、横浜市「令和7年国勢調査速報値(横浜市集計)」および「横浜市の人口 ― 令和7年中の人口動態 ―」、ならびに同年第15表(移動前・移動後住所地別転入転出者数)を参照しています。 第15表によるフロー分析および転入転出フロー図は、市内他区・県内各市郡・東京都区部・町田市・政令指定都市を相手先とする純転入超過20人以上のフローを対象としており、国外や他の道府県の非政令市との移動は含まれません。



このような話における「地方都市」に大阪と名古屋は含まれていないような気がします。 大阪も名古屋も地元に残る女性の方が多い印象です。 東日本において、「都会」の選択肢が東京一択になっているのが残念です。そんなに大阪や名古屋のイメージがダサいんでしょうか。