
Change.orgで拡散されている、インド出身のカレー店主クマールさんのビザ更新が認められなかった件についてです。 日本に30年ほど住み、18年店を続けてきた人が、突然の「資本金3,000万円ルール」で追い出される。 パッと見ると、そういう同情を誘う話に見えます。 ただ、ここは少し冷静に見た方がいいと思います。 まず、国がビザのルールを厳しくした背景には、実体のない会社を使った申請を防ぐという目的があります。 本当に商売をしているのか。 きちんと税金や保険の手続きをしているのか。 店や会社は実際に動いているのか。 本人が本当に経営しているのか。 こういう点を審査すること自体は、国のルールとして必要です。 新しい基準では、資本金3,000万円、常勤で働く人1名以上、日本語能力、経営経験、専門家が確認した事業計画などが求められます。 これは、小さなお店にはかなり重いです。 町のカレー屋さんや小さな飲食店にとって、3,000万円を用意するのは簡単ではありません。 人を1人きちんと雇うのも、毎月の給料、保険、手続きがかかります。 だから、「まじめな小さなお店まで巻き添えになるのではないか」という心配はよく分かります。 一方で、この件を「3,000万円を用意できないから、すぐにダメになった」とだけ見るのも、少し早いと思います。 すでに経営のビザを持っている人には、2028年10月16日まで、経過的に判断する期間があります。 新しい基準にまだ届いていなくても、店の状態や、これから基準に近づける見込みを見て判断する仕組みです。 つまり、本当に毎日店を開いていて、客がいて、税金や保険の手続きもしていて、これから改善していく計画も出せるなら、いきなり「3,000万円がないから終わり」とは限らないはずです。 だからこそ、見るべきは「かわいそうなお店の看板」だけではなく、具体的な事実です。 入管は、具体的に何を理由にビザの更新を認めなかったのか。 帳簿やお金の記録はどうだったのか。 税金や保険料はどうだったのか。 過去に出した書類と食い違いはなかったのか。 従業員や雇用の扱いはどうだったのか。 営業許可などに手続きの漏れはなかったのか。 今後、新しい基準に近づける計画は出せていたのか。 本当にクマールさん本人を助けたいなら、署名を集めて「制度がおかしい」と訴える前に、まずこうした資料を全部そろえる必要があると思います。 帳簿、決算、納税の証明、保険の書類、営業許可、店の契約書、売上、仕入れ、雇用関係、過去の申請書類、不許可の理由。 それを行政書士、弁護士、税理士、社労士などの専門家に見てもらう。 そして、日本に残るための現実的な道筋を作る。 まずそこだと思います。 もちろん、制度に問題があるなら、声を上げることは必要です。 小さな店にとって3,000万円の壁が重すぎる、という問題提起にも意味はあります。 ただ、個人を助ける話と、制度に反対する運動は、分けて考えた方がいい。 泣いている本人の写真。 赤い看板。 「黒字でも閉店」 「カレー屋を潰す」 「3,000万円ルールを止めてください」 こういう見せ方は、とても強いです。 でも、強いからこそ注意が必要です。 もし最終的にクマールさんが日本に残れた場合、「声を上げたことで行政が動いた」と受け止められるでしょう。 逆に残れなかった場合、「やはり制度に問題がある」と受け止められるでしょう。 つまり、結果がどちらに転んでも、制度反対の物語にはつながりやすい構造があります。 でも、本当に大事なのは、そこではないはずです。 クマールさん本人をどう助けるのか。 この人の店は、経過的な判断の中で救える事案なのか。 入管はどこを問題にしたのか。 専門家はその書類を見たのか。 まだ出せる資料や、作れる道はないのか。 そこを飛ばして、いきなり「外国人を残せ」か「帰れ」かの話にすると、制度の問題も、本人を助ける道も、どちらも見えなくなります。 不正な申請を防ぐチェックは必要です。 まじめに店を続けてきた人を、雑に切り捨てない運用も必要です。 いま本当に必要なのは、感情に訴える写真だけではなく、事実をもとにした専門家による現実的な解決策だと思います。















