RAIMO|AIカメラマン
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@tora_edition 技術の負の側面ばかりが目についてしまうのですが、私も画像生成は誰かを幸せにする技術であってほしいと願っています
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江戸時代のボクシング②(落語付き)
えー、毎度ばかばかしいお笑いを一席。
「殴り合い」なんてぇのは、昔から男の腹の虫を治める手っ取り早い方法でございましたが、それがどうやら海を渡ってやってきた異国の「ぼくしんぐ」とかいうもんだと、なんだかえらく小洒落た見世物になるそうでございます。
時は江戸の末。ある日、両国の広小路に妙な見世物小屋が建ちました。木戸の横には「舶来渡来!ぼくしんぐ」なんて大仰な看板がぶら下がっております。
「おいおい、なんだいこの『ぼくしんぐ』ってのは」
「なんでも南蛮から来た荒くれ者の喧嘩らしいぜ。刀も脇差も持たずに、拳一つで勝負するんだとよ」
「へえ、素手で喧嘩かい。そりゃあ相撲みたいなもんか?」
「いやいや、違うんだ。なんでも、拳に白い布をグルグル巻きにして、こう、シュッシュッて構えるんだと」
「なんだいそりゃ。白いたすき掛けでもして踊るんじゃあるまいし。……で、誰が戦うんだい?」
「それがよ、町内の暴れん坊の熊さんと、隣町の喧嘩っ早い八つぁんだっていうじゃねえか!」
「なんだ、あの二人か!そりゃあ面白そうだ。見に行こうじゃねえか!」
てなもんで、江戸っ子たちは好奇心丸出しで、わらわらと見世物小屋に集まってまいりました。
中に入ってみますと、こりゃまた妙な塩梅でございます。四隅に木の柱が立ってまして、そこに太い縄が三段に張られている。なんでもこれを「りんぐ」と呼ぶそうです。その四角い縄の中で、裸一貫の男が二人、にらみ合っている。
見れば、一人は確かに熊さん。もう一人は八つぁん。両方とも、ふんどし姿なんですが、なんとまあ、手には真っ白な布をぐるぐる巻きにしております。
「おい熊!おめえ、そんな格好して恥ずかしくねえのかい!」
「うるせえ!これが『ぼくしんぐ』の正装なんだよ!南蛮の真似してやってんだ!」
「へへっ、なんだかおにぎりみてえな手じゃねえか!」
「なんだと!このおにぎりでおめえの鼻っ柱をへし折ってやる!」
そんないがみ合いをしている横で、行司役……じゃなかった、なんだか南蛮風の「れふりい」とかいう役目の男が、なにやらよくわからない言葉で叫びます。
「ファイッ!」
それが合図だったようで、熊さんと八つぁん、一斉に飛び出しました。
「おうりゃあ!これでもくらえ!」
熊さんが大振りで右の拳を振り回しますが、八つぁん、ひらりと身をかわします。
「へっ、遅せえ遅せえ!南蛮の喧嘩は『すてっぷ』が肝心なんだよ!」
八つぁん、妙にピョンピョン飛び跳ねながら、今度はスッと前に出て、熊さんの顔面にパンチをお見舞いしました。
「痛ぇ!……てめえ、いきなり顔面狙うとは卑怯だぞ!」
「馬鹿野郎!『ぼくしんぐ』は顔面オッケーなんだよ!お前のその団子っぱな、平べったくしてやる!」
「おのれ!ならこっちも顔だ!くらえ!」
熊さんと八つぁん、顔面めがけてボカスカと殴り合いを始めました。江戸の喧嘩といえば、だいたい取っ組み合いになるもんですが、この「ぼくしんぐ」はとにかく殴るだけ。見ている客たちも、最初はぽかんとしていましたが、次第に熱中してきました。
「いけぇ!熊!もっと右だ右!」
「八!そのおにぎりパンチを顎にぶちかませ!」
やんやの喝采の中、二人は汗だくになって殴り合います。しかし、どうにも様になりません。南蛮のボクシングはもっとシュッシュッと洗練されているはずなのですが、なにせ素人は素人。ただの大振りな喧嘩になり下がっております。
「ぜぇ、ぜぇ……おめえ、なかなかやるじゃねえか」
「はぁ、はぁ……てめえこそ、その大根みたいな腕、案外効くぜ」
すっかり疲労困憊の二人。顔はもう腫れ上がって、見分けがつかないほどです。
「よし、次で決着つけてやる!俺の必殺『南蛮式大車輪』を見ろ!」
熊さんが、腕をグルグルと風車のように回し始めました。
「なんだそりゃ!ならこっちは『唐獅子牡丹連打』だ!」
八つぁんも負けじと、両腕をめちゃくちゃに振り回して突進していきます。
二人がぶつかる!
ドゴォォォン!!
ものすごい音がして、二人は同時に倒れ込みました。
「おっと!れふりいが数を数え始めたぞ!」
「ひとつ、ふたつ、みっつ……」
客席は静まり返り、息を呑んで見守ります。
「ここのつ、とお! あがり!」
「あがりってなんだよ、湯治場の帰りじゃねえんだぞ!」
結局、二人とも立ち上がることができず、試合は引き分け。いや、両者負けという結果になりました。
「ちぇっ、なんだい。結局ただの喧嘩じゃねえか」
「まあ、でもあのおにぎりパンチは面白かったな」
客たちはブーブー言いながらも、どこか満足げに帰っていきました。
さて、その日の夜。
顔中包帯だらけの熊さんと八つぁん、居酒屋で酒を飲んでおります。
「いててて……おめえ、手加減しろって言っただろうが!」
「おめえこそ、俺の鼻、折れちまったじゃねえか!」
文句を言い合いながらも、お互いの酒を注ぎ合っています。
「でもよ、あの『ぼくしんぐ』ってやつ、案外楽しかったな」
「ああ、ただの喧嘩より、なんだかスッキリしたぜ」
「おう、またやろうぜ!今度は俺が勝つからな!」
「へん、返り討ちにしてやるよ!」
こうして、江戸の町には、少し変わった殴り合いの文化が根付いていく……のかもしれません。
お後がよろしいようで。

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