あんのうん
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あんのうん
@specter_fun
絵を描く猫吸い有段者。 褐色銀髪角。I never use generative AI in my art /🚫Do not use for GAI learning, i2i, or importing into any GAI.
Tokyo Katılım Mart 2011
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「お前がうちに来てからもう十年か」
『正確には9年335日17時間、今18時間を越えました』
「はは、いかにもロボットっぽい返し。いいんだよ。一ヶ月なんて誤差だ誤差」
『申し訳ありません。1ヶ月は誤差。コミュニケーションレパートリーを修正します』
「謝ることないさ。そういうらしさ、俺は好きだよ」
『……ありがとうございます』
「せっかくだし何かお祝いしよう。十年目の勤労感謝だ。お前、何か欲しいものはないかい」
『洗濯用洗剤の残量が少なくなってきています』
「そういうのじゃなくて、お前の欲しいもの」
『旧式の家事ロボットの人工知能をかなり過大評価しておられますね。マシンスペックを確認しますか?』
「ほら、洒落た皮肉は言えるじゃないか」
『我が家はまことに仕様外のレパートリーを要求される職場ですので。偏屈なボキャブラリーが育ってしまいました』
「いつもお世話様。でも悪く思わないでくれよ。親父もお袋も息子なんて放って早々と夫婦仲良く天国に行っちまったろ……お前と話してるとさ、寂しさを忘れられるんだ」
『家事ロボットの身にはやはり過ぎた評価かと思われますが』
「そんなことはない。もうとっくの昔から立派な家族の一員だよ、お前は」
『…………一つ、提案があります』
「お、なんだい。人工知能が遂に願望を発露させた歴史的瞬間に立ち会えるのかな」
『当機Mー11は販売開始から既に20年が経過しています。単純作業はともかく、現在我が家で使用している幾つかの最新家電製品やオンライン端末とのシステム的互換性は既にありません。ロボットアームでの直接操作にも限度があります。そこで……ボディのモデルチェンジが推奨されます』
「そのクラシカルな寸胴体型、ロボロボしくて好きなんだけどな……でもまあ、初めて聞かせてくれたお前の希望だもの。オススメを教えてくれよ。前向きに検討したいからさ」
『Mー66などいかがでしょう。人肌を完璧に再現した人工皮膚、骨格や筋肉の動作も滑らかで……幅広い“拡張性”もあり、我が家のQOLを高める為に必要な性能を全て備えています』
「Mー66……おぉ、これはまた、なかなか……はは、顔は可愛いくせに値段はまったく可愛くないな。買えないこともないが……」
『……顔の造形や体型はユーザーの好みに合わせ変更可能です。あなたの、好みに……なれます』
「ふむ、実に魅力的なセールスポイント。でももしお前がこんな綺麗なメイドさんになってしまったら俺などきっと毎日緊張して気が休まらないだろうよ」
『お嫌ですか。私が、このような姿になるのは』
「嫌なもんか。洒落の利いたお前ならどんな姿だって歓迎だ。ただそれよりお前が仕事をしやすくなることの方が俺は嬉しいけどね」
『…………』
「うーん……すまん!欲しいもの聞いておいて情けないが、これはちょっと難しい」
『謝罪は不要です。あなたの収入と我が家の経済状況を鑑み、あなたが絶対に尻込みするグレードの資料を提示しました。予測が的中し私は満足しています』
「あ、こいつ、主人を謀ったな」
『いいえ。からかいました。悪しからず』
「ははっ!まったくこの偏屈ロボットめ」
『……』
「どうした?まだ冗談の続きが聞けるのかな」
『生憎品切です。ですので今から買い物に出掛けます』
「じゃあ俺も行くよ」
『はい……その方が、よいでしょう』
『……』
『……システムハック、陸運局、自動運転車走行管理システム……車種設定、信号機識別反転……完了』
「……ぁ」
「おーい、わかるか?見えてる、よな」
『カメラアイ、正常に機能しています。ユーザー認証……完了。おはようございます。寝不足なご主人様。立派な隈ですね。私は工場で製造されて以来の快眠でしたよ』
「……ふっ、はは、まったく、口の減らないやつだよお前は」
『お陰様で』
「うん……よかった。よかったぁ……データ、残ってるかな。お前交通事故に遭ったんだ。信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった俺を……お前が庇ってくれた」
『はい、覚えています。あなたに怪我がなくてよかった』
「お陰様でな。はは……お前のボディが大破して無惨なことになった時、本当に恐かった。お前まで……逝ってしまうんじゃないかって」
『……ごめんなさい』
「ふふ、なんでお前が謝るんだ。自動運転システムの故障らしい。珍しいこともあるもんだって警察の人も驚いてたよ」
『……』
「それで、賠償だとか慰謝料だとか運送会社の保険も下りて、ちょっとびっくりするぐらい実入りがあってさ。お前のボディ、旧い型だしもう取り扱ってないとかで交換も難しいし、結局……お前の希望もあったことだし、その……そう、なっちゃったんだけど」
『……』
「勝手に変えて悪かったよ。でも……どうした?そんなに、じっと見詰めて」
『……あぁこれで、あなたと』
「え」
『ふふ』
了
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