ガル
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「コチェビ」
ロシア語の放浪が由来とも言われる。
北朝鮮の孤児たちを指す言葉だ。
当時の北朝鮮には、コチェビが溢れていた。
北朝鮮・羅津の工場を始めた頃のことだ。
枇杷島の加工工場に、ある日、三人の子供が現れた。
まるで石器時代の原始人と見間違えるような姿だった。
南京袋の底と横に穴を開け、頭と手を出している。
身体は痩せ細り、真っ黒に汚れ、シラミが頭髪に這い出していた。
眼だけが異様にギラギラしていた。
事情を聞くと、両親が脱北の手助けに関与し、強制収容所に送られてしまった。
「逃げろ」と言われて羅津へ義兄を頼ったが、追い返された。
行き場を失った3人は橋の袂に住み着いていた。
上から14歳、12歳、8歳。
工場の休憩室の木の箱にいつも3人は並んで座っていた。
見かねた従業員が声をかけ、シラミだらけの身体に殺虫剤をかけ、身体は真っ白になった。
下の子は鼻を垂らし、ブルブル震えながら私を見ていた。
私はその時微笑んだつもりだったが、あの時の自分はどんな顔をしていたのだろう。
この子たちの面倒は、金忠南と李君に一任した。
村の空いた納屋を寝床とし、兄と次男は工場の雑用係として働くことになった。
食事代と家賃は会社負担。
週一回、私の家で夕食と風呂を入れさせた。
下の子は家政婦のスビンになついて、側から離れなかった。
ある日、スビンが私の部屋に飛び込んできた。
「下の子、英順は女の子です」
お風呂に入れてあげた時に気づいたのだそうだ。
私は唖然とした。
話を聞くと、最初はずっと下を向いて黙ったままだった。
お菓子をあげると、両親から言われたことを話し始めた。
「あなたはこれから男の子として振る舞いなさい。女の子ということがわかれば、すぐ売られてしまう。兄妹がバラバラになる」と。
この国の孤児の女の子は誘拐され、人身売買されてしまう。
「この子を守るには脱北しかない」
かなり危険を伴うがそれがみんなで考えた結果だった。
(続く)
日本語
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