井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション

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井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション

@sada_ikawa

SSIR-J副編集長/トラストベースドフィランソロピージャパン事務局長/NPOサポートセンター理事/株式会社代表取締役社長/Nピボ共同代表/英国NGO-INTRAC/財団アドバイザー/助成制度設計専門家/コミュニティオーガナイザー/ NGO財務専門家/金融×ソーシャル/ノマドポートフォリオワーカー

家は白のハイエース Katılım Haziran 2017
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【再掲】ある非営利団体の経営者から「資金がないから、やりたい活動ができない」と相談を受けた。非営利組織の経営において、資金不足の悩みは尽きない。しかし、この考え方は、根本的に間違っている。↓↓ まず「やりたい・やりたくない」はどうでもいい。最も大切なのは、人生をかけて解決すべきと信じぬける社会の課題は何かを徹底的に考え抜くこと。これがないと経営者は、孤独の中、多くの困難に立ち向かい続ける力が沸いてこない。そして、これまでなぜそれが解決されていないのかを調べ上げ、他の国や他の業種のビジネスモデル、自身の経験を踏まえて新しい解決方法をまた徹底的に考える。ここまでくれば、サントリー創業者鳥井信治郎氏ではないけど「やってみなはれ」なのだと思う。 真に社会に必要なことを最も効果的と思われる方法で解決しようとしていて、そのプロセスが広く可視化され、参加の窓口が開かれている場合、その活動や組織に共感し、ともに行動してくれる人は必ず出てくる。そういう人が表れていない場合、課題設定が一人よがりだったり、アプローチが悪かったり、プロセスが可視化されていなかったり、どこかに問題があるのだと思う。 当初思った通りの方法で山頂にたどり着けないことが分かる日がやって来る。でも、その頃には、傍らには以前見えていなかった山頂に通じると思われる別の道が見えているはず。その道を歩めばいい。雨や石やらが降ってきて、更に新たに歩んだ道もまた山頂には通じてなかったことに気が付き、心が折れそうになるが、再び傍らにある山頂に通じると思われる別の道を歩めばいい。天候もルールも急激に変わり、誰も正解を持ちえない状況において、中期的な計画は意味をなさない。経営とは、強い信念とポジティブな気持ちを最後まで持ち続け、資源を最大化しながら柔軟に道を変えて山頂まで歩み続けるゲームなのだと思う。
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【3月テーマ:トラウマ(4/4)】2024年世界で最も多く読まれた記事『システムを癒やす』は、関係性や組織、制度、社会システムの行き詰まりにも深く関わっていることを示す。 share.google/ipsRgTbb9wy7eM… (著者:ローラ・カルデロン・デ・ラ・バルカ等|リードコメンテーター:佐藤 淳/藤村 隆)
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SSIR-Jの新しい記事『トラウマに向き合うことを、社会変革への道筋にする(Addressing Trauma as a Pathway to Social Change)』は、傷つきの経験が個人のなかにとどまらず、沈黙や差別、分断、語れなさとともに世代を超えて受け継がれていく「世代間トラウマ」に着目し、その視点から社会課題の根にある痛みを捉え直すことの重要性を論じる記事です。リードコメントは、PHD協会の坂西さんが、水俣でのご経験をもとに書いてくださっています。坂西さん、ありがとうございます! 2026年3月のSSIR-Jのテーマは「トラウマ」です。本稿はその第3弾として、世代間トラウマという観点から、社会変革に取り組む人びとや地域社会が抱える課題を見つめ直します。本シリーズは、3月27日(金)より4日間にわたり連続で公開しています。今日までに、トラウマを中心に添えつつ、①個人、②組織、③世代間とスケールしてきました! ssir-j.org/addressing-tra… (著者:イジェオマ・ンジャカ/ダンカン・ピーコック|リード・コメンテーター:坂西 卓郎)
スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー・ジャパン(SSIR-J)@ssirjapan

【3月テーマ:トラウマ(3/4)】『トラウマに向き合うことを、社会変革への道筋にする』は、傷つきの経験が、沈黙や差別、分断、語れなさとともに世代を超えて受け継がれていく「世代間トラウマ」に着目 ssir-j.org/addressing-tra… (著者:イジェオマ・ンジャカ等|リード・コメンテーター:坂西 卓郎)

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私の周囲には、医療事業を継続するために自らの体調を損ないながら資金調達に奔走する人や、教育事業に携わるがゆえに、自分の子どもの学校行事にさえ十分に参加できないNPO・NGOスタッフが少なくなかった。私自身もまた、前職のNGO時代には、「仕事は人生」であるどころか、自分の人生そのものよりも仕事を優先していた。その結果が、以前書いた「私の得意技は苦痛を無視すること」であった。 多くの人は、何らかの傷を抱えながらそこにいる。仕事、家庭、地域など、傷の由来もさまざまである。そうした傷や痛みが理解されず、支えられないままでいること自体、深刻な問題である。そして、それが放置されると、無理や自己犠牲を当然とする文化が組織のなかで再生産されてしまう。だからこそ、健全な事業やシステムを築くには、個人の献身に頼るのではなく、組織そのものが、トラウマを理解し、それに配慮できるもの(trauma-informed organization)へと変わっていく必要がある。 今日、公開されたSSIR-J記事『奉仕を通じて、よりよく生きる(Thriving Through Service)』は、「人のために尽くす仕事は、自己犠牲を伴うのが当然である」という思い込みを問い直す記事である。そして、その思い込みを乗り越えるためには、個人の努力や意識改革だけでなく、自己犠牲を美徳として再生産してしまう組織文化そのものを見直さなければならないことを示している。リード・コメンテーターは、オーセンティックワークスの古江さん。古江さん、ありがとうございます! 2026年3月のSSIR-Jのテーマは「トラウマ」です。本稿はその第2弾として、トラウマを理解し、それに配慮できる組織(trauma-informed organization)に光を当てます。本シリーズは、3月27日(金)より4日間にわたり連続で公開しています。 ■『奉仕を通じて、よりよく生きる』 ssir-j.org/thriving-throu… ■「苦痛を無視する」 x.com/sada_ikawa/sta…
スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー・ジャパン(SSIR-J)@ssirjapan

【3月テーマ:トラウマ(2/4)】『奉仕を通じて、よりよく生きる』は、人のために尽くす仕事は自己犠牲を伴うものという思い込みを問い直し、組織文化を変えていく必要があることを論じています。 ssir-j.org/thriving-throu… (著者:ディンプル・D・ダバリア|リード・コメンテーター:古江 強)

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今でも地震の映像が流れると、両腕に鳥肌が立つ。精神的につらくなったり、体調が悪くなったりするわけではない。ただ、あのときの恐怖を、体がいまも記憶しているのだと思う。あの瞬間、私は死を意識した。そして、その傷は今も心の奥に残っている。 高校時代の私は、生かされた自分に対して、なぜ私は残されたのだろうと繰り返し考えていた。その問いの先にあったのが、災害や紛争によって命が失われることを、どうすれば少しでも減らせるのかという思いだった。それが、その後の私の「社会を変えたい」という原動力になったことは間違いない。 SSIR-Jの記事『社会変革と情熱の影(Social Change and the Shadow Side of Passion)』は、自らの傷に向き合うことが、他者や社会へ差し出しうる贈り物につながる可能性を示しています。リード・コメントを寄せてくださった認定NPO法人D×Pの今井さんは、ご自身のつらい経験をもとに、自らの内面と対話を重ねながら、それでもなお社会と関わり続けることの意味を、示してくださっています。今井さん、ありがとうございます。 2026年3月のSSIR-Jのテーマは「トラウマ」です。本稿はその第1回として、社会を担うリーダー個人の内面にあるトラウマに光を当てます。本シリーズは、本日より4日間にわたり連続で公開していきます。毎月届くメルマガもぜひご登録ください。
スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー・ジャパン(SSIR-J)@ssirjapan

【3月テーマ:トラウマ①】『社会変革と情熱の影』は、自らの傷に向き合うことが、他者や社会へ差し出しうる贈り物につながる可能性を示す記事です。(著者:ジェラルディン・ヘップ等|リード・コメンテーター:今井 紀明) ssir-j.org/social-change-…

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がん/岩井 純一@ソーシャルフリーランス
D×Pを3月末で退職します!そして本日が最終出社でした。 D×Pで過ごした2年という時間は決して長い年月ではなかったですが、それでもこの2年の間にD×Pで出会えた人、関わらせてもらったことは自分にとって本当に大切なものになっています。 D×Pでやりたいという思いだけで引っ越してきた初めての土地である大阪での生活は楽しいことも多くあり、一方で慣れないことも多く本当に色々なことがありました笑 D×Pは「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会。」をビジョンに掲げて、ユース世代(13歳〜25歳)のをオンライン(ユキサキチャット)とリアル(なんばにあるユースセンター)でサポートをしています。 9割程度を寄付で運営している日本では珍しい寄付型NPOとして走り続けている組織。 その中で広報ファンドレイジング(FR)として、いかに様々な人に届けていくか、寄付や多様な形で参画してもらうか、寄付という選択肢を広げていくかに取り組んだ2年間でした。 個人・企業と多くの方々とのコミュニケーション・リレーションを形成していきました。 クラファンや寄付キャンペーン・記者会見とこれまでも取り組んできたことに加えて、新たにふるさと納税(個人版・企業版)・遺贈寄付・大阪マラソンチャリティなど本当に多様なファンドレイジングに関わらせてもらったことは本当に大きなことだったし、もっとできるはずとの思いもありながらの日々でした。 ユキサキチャットでもユースセンターでも目の前のひとりひとりと真摯に向き合って、寄り添って、何ができるか、何をすべきか日々取り組んでいるスタッフには尊敬しかないし、だからこそ広報FRの人間として、より多くの人に知ってもらう、より多くの人を巻き込んでいくためにできることをしていった。現場スタッフのためにできることをしていきたいとの思いで自分なりに奮闘した日々。 正直、力不足を感じることもあったし、まだまだやりたいこと、できることがあると思ってもいるけど、このタイミングで離れることを決めました。 D×Pという存在、取り組みの価値や意義は中にいたからこそ本当に感じているし、それはD×Pを離れることになっても変わらないことだなぁと。 これからは違う立場の人間として、D×Pの可能性を、必要性を信じている人間としてできることをしてきたいと思っています。 自分にとって全くゆかりのない大阪での生活。 転勤族ではあったので引っ越しや新しい土地での生活は慣れているとはいえ、この歳になって新天地での生活はなかなか大変なこともとあったけれど、大阪に来て、出会ってくれた人たち、関わってくれた人たちのおかげで本当に充実した、そして自分の可能性も広げてくれたと思っています。 大阪に引っ越してくれてすぐに声をかけてくれた人、ソーシャルバーなどの場を一緒に作ってくれた人、ソーシャルバーなどの場にいつも参加してくれた人、フラットに付き合ってくれた人、新たな出会いや繋がりをくれた人、自然体でいれる人。 上げ出したらキリがないけれど、大阪に引っ越してきての出会いや繋がりをこれからも大切にしていきたいと思っています。 4月以降は東京に戻る予定です。 次にすることは全く決めていません!それでもNPOやソーシャル領域で変わらずにやっていきたいという思いは昔も今も変わっていません。 これからは自由な立場になるので何かできそう、手伝ってほしい、一緒にやろう、話そうなど大歓迎なので、ぜひ気軽に声をかけてください。 ソーシャルバーという取り組みも組織化したり、拡大していきたいと思っています(法人化も検討中)。 本当にありがとうございました。
がん/岩井 純一@ソーシャルフリーランス tweet mediaがん/岩井 純一@ソーシャルフリーランス tweet media
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2026年3月末をもって、AVPNを卒業させていただくこととなりました。これまでご一緒くださったメンバーの皆さま、支えてくださった皆さま、そして日本を含むアジア各地のAVPNの仲間たちに、心から感謝しています。 2023年9月からの2年半にわたるAVPNでの経験は、一言では言い尽くせません。アジアのフィランソロピー・エコシステムが大きく広がっていく、そのダイナミズムを間近で感じることができたこと、そして多様な背景をもつ100人超のスタッフが生み出す組織文化のなかで、その豊かさに日々触れられたことも、かけがえのない経験でした。 ちょうど日本の運営体制が大きく変わった直後に加わったこともあり、初期スタッフの一人として、手探りの状態からさまざまな挑戦を担わせていただきました。メンバーが集うギャザリングを始めることができたこと、アジアの資金提供者と日本の資金提供者やNPOをつなぐ機会をつくれたことも、とても大切な思い出です。業務外でもできる限り多くの場に足を運び、またSNSでもできるだけAVPNのことを伝えることで、まずはAVPNを知っていただくことを心がけてきました。振り返ると、本当にたくさんの学びと出会いに満ちた時間でした。 AVPNを通じて、多くの素晴らしい出会いにも恵まれました。組織の枠を超えて「仲間」と呼べる方々に出会えたことは、私にとって大きな財産です。他の業務が忙しく、本部での議論についていけなくなりそうだった時に、当時の仲間が情報をアップデートするために個別で時間を取って共有してくれたこと。日本での国際会議で、私が担当するセッションのモデレーターが当日急きょ参加できなくなった際に、韓国の友人が二つ返事で引き受けてくれたこと。台湾の仲間が、私が海外の国際会議に参加できるように一生懸命手配をしてくれたこと。別の仲間がプライベートで来日した際には、いつも一緒に食事をしながらビジョンを語り合えたこと。一つひとつの出来事が、私にとって大切な支えであり、かけがえのない思い出となりました。 少し前まで600だった資金提供者・エコシステムビルダーのメンバーは、いまや750へと広がりました。日本でも、アジア全体でも、AVPNはこれからさらに大きく発展していくはずです。9月には、世界各地の資金提供者が集うAVPN Global Conferenceがインドで開催されます。私自身も、4月からはメンバーとして引き続きAVPNに関わっていく予定です。ご関心のある皆さまは、ぜひご参加をご検討ください。 AVPNでいただいたご縁と学びに深く感謝するとともに、これからの #AVPN、そしてメンバー団体の皆さまのさらなる飛躍を心より願っています。
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社会を変えようとするリーダーの多くは、心に傷を抱えている。見過ごせなかった不条理、心に残り続ける痛み、守れなかったものへの悔しさ。そうした痛みは、行動の原動力にもなれば、癒やされないままでは焦りや過剰な責任感、他者への厳しさとなって、組織の息苦しさとして表れることもある。だから、リーダーシップを語るときには、その人の想いや能力だけでなく、その奥にある心の傷にも目を向けなければならない。では、こうした心の傷を、自分らしいリーダーシップの源泉へと変えていける組織を、私たちはどう育んでいけるのだろうか。 UNBOUND SAPIENS Vol.3では、オーセンティックワークス株式会社の古江さんをゲストにお迎えし、レギュラーメンバーの青木、鈴木、井川とともに、「なぜ人間は痛みを感じるのか」をテーマに、NPO/NGOをめぐるあれこれを雑談的に掘り下げていきます。具体的には、以下の3つのトピックを中心にお話しする予定です。 ・リーダーの想いと痛みが生み出ししている影響 ・痛みは、自分らしいリーダーシップへの入り口 ・組織は痛みを癒やし、自分らしいリーダーシップを育めるか? 3月末に、スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー・ジャパン(SSIR-J)で「トラウマ」に関する記事を公開しようと準備を進めていたところ、偶然、ドンピシャのテーマで古江さんにご登壇いただけることになりました。とっても楽しみです! n-pivo.jp/info/action/20…
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市場そのものや、そこへのアクセスの仕方が大きく変わるとき、歴史ある保守的なシステムの中で収益を上げてきた組織が生き残るには、余力があるうちに自ら旧来の市場依存を見直し、新しい市場の中で存在価値をつくり直していくしかない。 けれど、多くの組織にとって、それは簡単ではない。なぜなら、「まだ余力がある」という状態そのものが、旧来の仕組みがCash Cow(大きな収益源)として機能していることを意味するからだ。そこには当然、大きな慣性と抵抗が働く。いま収益を生んでいるものを縮小したり手放したりする判断は、合理性だけでは進まない。 その結果として起こりがちなのは、移行の必要性を理解しながらも決定を先送りし、気づいたときには余力そのものが失われている、という事態である。その段階では、新しい市場に入るための資源も体力も乏しくなり、参入の難易度はむしろ上がってしまう。これはまさに、イノベーションのジレンマが示していることでもある。 一方で、旧来の市場を維持したまま、その余力の一部を新しい市場に振り向けようとするアプローチもある。もちろん、それでうまくいく場合もある。けれど実際には、新しい領域に向けられる資源は限定的になりやすく、本気の移行にはつながらないことが多い。既存事業が主であり続ける限り、意思決定も人材も時間も、結局はそちらに引っ張られるからだ。 この構造は、補助金や委託事業への依存が強いNPO/NGOにも、そのまま当てはまる。補助金は重要な資金源であり、活動を支える大切な基盤でもある。けれど、それが組織の中心的な収益構造になると、単に財源を得るという以上に、組織の時間、人材、思考、行動そのものが制度適応に最適化されていく。申請書を書く力、仕様に合わせる力、減点されない運営をする力は高まる一方で、自由度の高い資金を集める力、独自の価値を社会に伝える力、新しいモデルを試す力は育ちにくくなる。 その状態が続くと、制度の中では生き残れても、社会の変化には適応しにくくなる。つまり、補助金依存の難しさは、資金源が偏ることだけではなく、組織能力そのものが旧来の制度に最適化され、次の可能性へ移りにくくなることにある。 だからこそ必要なのは、旧来市場を守り切ることではなく、そこで築いた資源や強みを、まだ余力があるうちに次の市場へ移していくことだ。短期的な安定を削ってでも未来への適応力に投資できるか。その判断を連続的に下せるかどうかが、組織の価値を左右する。
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橘優香|Yuka Tachibana
まさにNPOでもがきつつ株式での起業にも踏み切った身として、本当にそう。 人材の循環、視点の共有、両輪で走ることが必要
井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション@sada_ikawa

NPOセクターから営利セクターへの人材流出をどう食い止めるか。先日受けた相談は、NPOの経営者にとって切実な課題であることは間違いない。だが社会全体の視点に立つと、「流出=悪」と短絡してよいのか、立ち止まって考える余地がある。 NPOで働くことは、多くの場合、社会課題の解像度を上げる。社会や地域の複雑さを知り、制度の隙間に落ちる人の存在を知り、数字にならない痛みの輪郭を知る。その過程で、状況に応じて形を変える柔軟性、不確実な状況でも筋道を立てる論理的思考力、相手の痛みを理解し、適切な距離感で寄り添う力。そうした基礎体力が養われる。これらの力を持った人材が、営利セクターを含む社会のさまざまな場所に移り、意思決定の内側に入っていくことは、むしろ社会をNPOが目指してきた方向へ押し出す可能性がある。 たとえばメディアの現場だ。先日、某テレビ番組でヤングケアラーの問題が取り上げられていた。番組を見た多くのNPO関係者は、きっとどこかで違和感を覚えたはずである。もし制作側に、その違和感を「違和感のまま」放置せず、編集会議で言語化し、論点を修正できる人材がいたなら、当事者の尊厳を損なう演出、問題の単純化、善意の物語への回収は、いくつかは防げたかもしれない。NPOマインドを持つ人が社会の各所で働くことは、社会の学習装置を増やすことでもある。だから、人材が外へ出ていくこと自体を「止めるべき流出」とだけ捉えるのは、視野を狭めてしまう。 むしろ、NPOセクターと人材の問題として本当に向き合うべき核心は、多くの組織において、そもそもの「流入」が厳しくなっていることだ。一定の給与水準を確保しながら社会課題に取り組むソーシャルな企業が増えるなかで、NPOは「社会的であること」だけでは選ばれにくい。さらに助成金や委託事業収益中心の財務構造のもとでは、人件費を含む中長期の組織投資が難しく、競争力のある労働環境を提示しづらい。加えて、NPOの仕事の実態が社会に十分伝わっておらず、外からは見えにくい。結果として、「使命感」か「自己犠牲」か、という古い二択に追い込まれやすい。 論点は、「流出を止める」よりも、「循環を設計する」と「入口を広げる」に置き直したほうが生産的だと思う。人材の移動を“損失”として嘆くのではなく、NPOで培われた知見と倫理が社会の中で薄まらず、別の場所で力を発揮し、また戻ってくる。その循環が回る条件を整える。同時に、働き方の多様性、成長機会、意思決定への参加、ケアの文化といった「給与以外の魅力」を含め、入口を広げる設計を積み重ねる。いま必要なのは、流出を止める壁ではなく、往復と合流を可能にする回路だと思う。 ※流入課題は、令和6年度外務省NGO研究会のETIC腰塚さん(P101)、プロビティ・グローバルサーチ株式会社高藤さん(P103)が詳しい。お二人の知見共有に改めて感謝。 mofa.go.jp/mofaj/gaiko/od…

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高藤悠子@社会貢献xキャリアに特化した転職エージェント
とても参考になるし、その通りだよな、、と思って読んでいたら最後に私の名前が出ていた😂このテーマは本当に考えていきたい。営利と非営利を行き来する人が増える事で双方に大きなメリットが出てくると考えています。
井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション@sada_ikawa

NPOセクターから営利セクターへの人材流出をどう食い止めるか。先日受けた相談は、NPOの経営者にとって切実な課題であることは間違いない。だが社会全体の視点に立つと、「流出=悪」と短絡してよいのか、立ち止まって考える余地がある。 NPOで働くことは、多くの場合、社会課題の解像度を上げる。社会や地域の複雑さを知り、制度の隙間に落ちる人の存在を知り、数字にならない痛みの輪郭を知る。その過程で、状況に応じて形を変える柔軟性、不確実な状況でも筋道を立てる論理的思考力、相手の痛みを理解し、適切な距離感で寄り添う力。そうした基礎体力が養われる。これらの力を持った人材が、営利セクターを含む社会のさまざまな場所に移り、意思決定の内側に入っていくことは、むしろ社会をNPOが目指してきた方向へ押し出す可能性がある。 たとえばメディアの現場だ。先日、某テレビ番組でヤングケアラーの問題が取り上げられていた。番組を見た多くのNPO関係者は、きっとどこかで違和感を覚えたはずである。もし制作側に、その違和感を「違和感のまま」放置せず、編集会議で言語化し、論点を修正できる人材がいたなら、当事者の尊厳を損なう演出、問題の単純化、善意の物語への回収は、いくつかは防げたかもしれない。NPOマインドを持つ人が社会の各所で働くことは、社会の学習装置を増やすことでもある。だから、人材が外へ出ていくこと自体を「止めるべき流出」とだけ捉えるのは、視野を狭めてしまう。 むしろ、NPOセクターと人材の問題として本当に向き合うべき核心は、多くの組織において、そもそもの「流入」が厳しくなっていることだ。一定の給与水準を確保しながら社会課題に取り組むソーシャルな企業が増えるなかで、NPOは「社会的であること」だけでは選ばれにくい。さらに助成金や委託事業収益中心の財務構造のもとでは、人件費を含む中長期の組織投資が難しく、競争力のある労働環境を提示しづらい。加えて、NPOの仕事の実態が社会に十分伝わっておらず、外からは見えにくい。結果として、「使命感」か「自己犠牲」か、という古い二択に追い込まれやすい。 論点は、「流出を止める」よりも、「循環を設計する」と「入口を広げる」に置き直したほうが生産的だと思う。人材の移動を“損失”として嘆くのではなく、NPOで培われた知見と倫理が社会の中で薄まらず、別の場所で力を発揮し、また戻ってくる。その循環が回る条件を整える。同時に、働き方の多様性、成長機会、意思決定への参加、ケアの文化といった「給与以外の魅力」を含め、入口を広げる設計を積み重ねる。いま必要なのは、流出を止める壁ではなく、往復と合流を可能にする回路だと思う。 ※流入課題は、令和6年度外務省NGO研究会のETIC腰塚さん(P101)、プロビティ・グローバルサーチ株式会社高藤さん(P103)が詳しい。お二人の知見共有に改めて感謝。 mofa.go.jp/mofaj/gaiko/od…

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嶋本勇介@コエルワ取締役|北海道から、教育から
NPOセクターから営利セクターへの人材流出の議論もあるのですね! 北海道という地域で、営利セクターで社会課題解決にとりくむ当事者として、そもそも両セクターの人材総量を増やしていく動きをどう取るべきか?も考えないといけないなと思いました。
井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション@sada_ikawa

NPOセクターから営利セクターへの人材流出をどう食い止めるか。先日受けた相談は、NPOの経営者にとって切実な課題であることは間違いない。だが社会全体の視点に立つと、「流出=悪」と短絡してよいのか、立ち止まって考える余地がある。 NPOで働くことは、多くの場合、社会課題の解像度を上げる。社会や地域の複雑さを知り、制度の隙間に落ちる人の存在を知り、数字にならない痛みの輪郭を知る。その過程で、状況に応じて形を変える柔軟性、不確実な状況でも筋道を立てる論理的思考力、相手の痛みを理解し、適切な距離感で寄り添う力。そうした基礎体力が養われる。これらの力を持った人材が、営利セクターを含む社会のさまざまな場所に移り、意思決定の内側に入っていくことは、むしろ社会をNPOが目指してきた方向へ押し出す可能性がある。 たとえばメディアの現場だ。先日、某テレビ番組でヤングケアラーの問題が取り上げられていた。番組を見た多くのNPO関係者は、きっとどこかで違和感を覚えたはずである。もし制作側に、その違和感を「違和感のまま」放置せず、編集会議で言語化し、論点を修正できる人材がいたなら、当事者の尊厳を損なう演出、問題の単純化、善意の物語への回収は、いくつかは防げたかもしれない。NPOマインドを持つ人が社会の各所で働くことは、社会の学習装置を増やすことでもある。だから、人材が外へ出ていくこと自体を「止めるべき流出」とだけ捉えるのは、視野を狭めてしまう。 むしろ、NPOセクターと人材の問題として本当に向き合うべき核心は、多くの組織において、そもそもの「流入」が厳しくなっていることだ。一定の給与水準を確保しながら社会課題に取り組むソーシャルな企業が増えるなかで、NPOは「社会的であること」だけでは選ばれにくい。さらに助成金や委託事業収益中心の財務構造のもとでは、人件費を含む中長期の組織投資が難しく、競争力のある労働環境を提示しづらい。加えて、NPOの仕事の実態が社会に十分伝わっておらず、外からは見えにくい。結果として、「使命感」か「自己犠牲」か、という古い二択に追い込まれやすい。 論点は、「流出を止める」よりも、「循環を設計する」と「入口を広げる」に置き直したほうが生産的だと思う。人材の移動を“損失”として嘆くのではなく、NPOで培われた知見と倫理が社会の中で薄まらず、別の場所で力を発揮し、また戻ってくる。その循環が回る条件を整える。同時に、働き方の多様性、成長機会、意思決定への参加、ケアの文化といった「給与以外の魅力」を含め、入口を広げる設計を積み重ねる。いま必要なのは、流出を止める壁ではなく、往復と合流を可能にする回路だと思う。 ※流入課題は、令和6年度外務省NGO研究会のETIC腰塚さん(P101)、プロビティ・グローバルサーチ株式会社高藤さん(P103)が詳しい。お二人の知見共有に改めて感謝。 mofa.go.jp/mofaj/gaiko/od…

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柚木 理雄/地域で場づくり・コミュニティづくり
前向きな転職であればその通りかもしれないが、それがどれだけあるのか。 相談されたのは前向きなケースなのか。 給与が低い、独りなら良くても家族を養えないなどの理由での流出に真正面から向き合わないと、ソーシャルセクターからの人材流出は変わらないのではないか。
井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション@sada_ikawa

NPOセクターから営利セクターへの人材流出をどう食い止めるか。先日受けた相談は、NPOの経営者にとって切実な課題であることは間違いない。だが社会全体の視点に立つと、「流出=悪」と短絡してよいのか、立ち止まって考える余地がある。 NPOで働くことは、多くの場合、社会課題の解像度を上げる。社会や地域の複雑さを知り、制度の隙間に落ちる人の存在を知り、数字にならない痛みの輪郭を知る。その過程で、状況に応じて形を変える柔軟性、不確実な状況でも筋道を立てる論理的思考力、相手の痛みを理解し、適切な距離感で寄り添う力。そうした基礎体力が養われる。これらの力を持った人材が、営利セクターを含む社会のさまざまな場所に移り、意思決定の内側に入っていくことは、むしろ社会をNPOが目指してきた方向へ押し出す可能性がある。 たとえばメディアの現場だ。先日、某テレビ番組でヤングケアラーの問題が取り上げられていた。番組を見た多くのNPO関係者は、きっとどこかで違和感を覚えたはずである。もし制作側に、その違和感を「違和感のまま」放置せず、編集会議で言語化し、論点を修正できる人材がいたなら、当事者の尊厳を損なう演出、問題の単純化、善意の物語への回収は、いくつかは防げたかもしれない。NPOマインドを持つ人が社会の各所で働くことは、社会の学習装置を増やすことでもある。だから、人材が外へ出ていくこと自体を「止めるべき流出」とだけ捉えるのは、視野を狭めてしまう。 むしろ、NPOセクターと人材の問題として本当に向き合うべき核心は、多くの組織において、そもそもの「流入」が厳しくなっていることだ。一定の給与水準を確保しながら社会課題に取り組むソーシャルな企業が増えるなかで、NPOは「社会的であること」だけでは選ばれにくい。さらに助成金や委託事業収益中心の財務構造のもとでは、人件費を含む中長期の組織投資が難しく、競争力のある労働環境を提示しづらい。加えて、NPOの仕事の実態が社会に十分伝わっておらず、外からは見えにくい。結果として、「使命感」か「自己犠牲」か、という古い二択に追い込まれやすい。 論点は、「流出を止める」よりも、「循環を設計する」と「入口を広げる」に置き直したほうが生産的だと思う。人材の移動を“損失”として嘆くのではなく、NPOで培われた知見と倫理が社会の中で薄まらず、別の場所で力を発揮し、また戻ってくる。その循環が回る条件を整える。同時に、働き方の多様性、成長機会、意思決定への参加、ケアの文化といった「給与以外の魅力」を含め、入口を広げる設計を積み重ねる。いま必要なのは、流出を止める壁ではなく、往復と合流を可能にする回路だと思う。 ※流入課題は、令和6年度外務省NGO研究会のETIC腰塚さん(P101)、プロビティ・グローバルサーチ株式会社高藤さん(P103)が詳しい。お二人の知見共有に改めて感謝。 mofa.go.jp/mofaj/gaiko/od…

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井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション
【NPOが自ら「従属者」になるとき】資金提供者とNPOのあいだには、力の非対称性がある。私は先日、その非対称性を和らげるために「資金提供者」ができることについて書いた。しかし、関係性は相互的なものである以上、「NPO自身」の振る舞いもまた、それを強めていることがある。 その1つが、資金提供者を「お金」としてしか見ない姿勢である。実際、資金提供者のなかには、「NPOに近づくと、結局ファンドレイジングをされるので距離を置く」という声をよく聞く。本来、そうした接点は、学び合い、課題認識を深め、関係を育てる機会であるはずだ。だが、それがつねに資金獲得へと回収されるなら、関係は対話ではなく営業になる。その結果、資金提供者は「出す側」、NPOは「受ける側」という構図が固定される。NPOは自らを「お願いする側」に置き続け、権力関係の下位から抜け出しにくくなる。 もちろん、先日書いたように、資金提供者には自らの権力を弱める責任があることは大前提だ。しかし同時に、NPO側にも、自分たちが相手を財布としてしか見ていないのではないかを問い直す必要がある。その問い直しは、自分たちが何を持ち寄り、何を共につくれるのかを見つめ直すことでもある。 資金提供組織を「コスパのよい資金源」として見続ける限り、従属的な関係は変わらない。資金提供組織を自分たちがきちんと信頼しない限り、信頼は返ってこない。資金提供組織のなかにいる人を見ようとしない限り、自分たちもまた、人として見られない。NPOが少しでも対等な関係を構築したいのであれば、変えるべきは、自らの振る舞いなのかもしれない。
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マヨ '26留学予定🇬🇧
まさにNGOから営利セクターにいこうとしてる身からすると、共感でしかない。気づかれにくい傷みに目を向け、解決のために試行錯誤できたのはすごくいい経験だった。でも、NGOは人材育成や福利厚生への投資が難しく、成長意欲のある優秀な人ほど辞めていく。貴重な20代、自己犠牲と使命感に限界を感じた
井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション@sada_ikawa

NPOセクターから営利セクターへの人材流出をどう食い止めるか。先日受けた相談は、NPOの経営者にとって切実な課題であることは間違いない。だが社会全体の視点に立つと、「流出=悪」と短絡してよいのか、立ち止まって考える余地がある。 NPOで働くことは、多くの場合、社会課題の解像度を上げる。社会や地域の複雑さを知り、制度の隙間に落ちる人の存在を知り、数字にならない痛みの輪郭を知る。その過程で、状況に応じて形を変える柔軟性、不確実な状況でも筋道を立てる論理的思考力、相手の痛みを理解し、適切な距離感で寄り添う力。そうした基礎体力が養われる。これらの力を持った人材が、営利セクターを含む社会のさまざまな場所に移り、意思決定の内側に入っていくことは、むしろ社会をNPOが目指してきた方向へ押し出す可能性がある。 たとえばメディアの現場だ。先日、某テレビ番組でヤングケアラーの問題が取り上げられていた。番組を見た多くのNPO関係者は、きっとどこかで違和感を覚えたはずである。もし制作側に、その違和感を「違和感のまま」放置せず、編集会議で言語化し、論点を修正できる人材がいたなら、当事者の尊厳を損なう演出、問題の単純化、善意の物語への回収は、いくつかは防げたかもしれない。NPOマインドを持つ人が社会の各所で働くことは、社会の学習装置を増やすことでもある。だから、人材が外へ出ていくこと自体を「止めるべき流出」とだけ捉えるのは、視野を狭めてしまう。 むしろ、NPOセクターと人材の問題として本当に向き合うべき核心は、多くの組織において、そもそもの「流入」が厳しくなっていることだ。一定の給与水準を確保しながら社会課題に取り組むソーシャルな企業が増えるなかで、NPOは「社会的であること」だけでは選ばれにくい。さらに助成金や委託事業収益中心の財務構造のもとでは、人件費を含む中長期の組織投資が難しく、競争力のある労働環境を提示しづらい。加えて、NPOの仕事の実態が社会に十分伝わっておらず、外からは見えにくい。結果として、「使命感」か「自己犠牲」か、という古い二択に追い込まれやすい。 論点は、「流出を止める」よりも、「循環を設計する」と「入口を広げる」に置き直したほうが生産的だと思う。人材の移動を“損失”として嘆くのではなく、NPOで培われた知見と倫理が社会の中で薄まらず、別の場所で力を発揮し、また戻ってくる。その循環が回る条件を整える。同時に、働き方の多様性、成長機会、意思決定への参加、ケアの文化といった「給与以外の魅力」を含め、入口を広げる設計を積み重ねる。いま必要なのは、流出を止める壁ではなく、往復と合流を可能にする回路だと思う。 ※流入課題は、令和6年度外務省NGO研究会のETIC腰塚さん(P101)、プロビティ・グローバルサーチ株式会社高藤さん(P103)が詳しい。お二人の知見共有に改めて感謝。 mofa.go.jp/mofaj/gaiko/od…

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井川 定一 フィランソロピー/ソーシャルイノベーション
NPOセクターから営利セクターへの人材流出をどう食い止めるか。先日受けた相談は、NPOの経営者にとって切実な課題であることは間違いない。だが社会全体の視点に立つと、「流出=悪」と短絡してよいのか、立ち止まって考える余地がある。 NPOで働くことは、多くの場合、社会課題の解像度を上げる。社会や地域の複雑さを知り、制度の隙間に落ちる人の存在を知り、数字にならない痛みの輪郭を知る。その過程で、状況に応じて形を変える柔軟性、不確実な状況でも筋道を立てる論理的思考力、相手の痛みを理解し、適切な距離感で寄り添う力。そうした基礎体力が養われる。これらの力を持った人材が、営利セクターを含む社会のさまざまな場所に移り、意思決定の内側に入っていくことは、むしろ社会をNPOが目指してきた方向へ押し出す可能性がある。 たとえばメディアの現場だ。先日、某テレビ番組でヤングケアラーの問題が取り上げられていた。番組を見た多くのNPO関係者は、きっとどこかで違和感を覚えたはずである。もし制作側に、その違和感を「違和感のまま」放置せず、編集会議で言語化し、論点を修正できる人材がいたなら、当事者の尊厳を損なう演出、問題の単純化、善意の物語への回収は、いくつかは防げたかもしれない。NPOマインドを持つ人が社会の各所で働くことは、社会の学習装置を増やすことでもある。だから、人材が外へ出ていくこと自体を「止めるべき流出」とだけ捉えるのは、視野を狭めてしまう。 むしろ、NPOセクターと人材の問題として本当に向き合うべき核心は、多くの組織において、そもそもの「流入」が厳しくなっていることだ。一定の給与水準を確保しながら社会課題に取り組むソーシャルな企業が増えるなかで、NPOは「社会的であること」だけでは選ばれにくい。さらに助成金や委託事業収益中心の財務構造のもとでは、人件費を含む中長期の組織投資が難しく、競争力のある労働環境を提示しづらい。加えて、NPOの仕事の実態が社会に十分伝わっておらず、外からは見えにくい。結果として、「使命感」か「自己犠牲」か、という古い二択に追い込まれやすい。 論点は、「流出を止める」よりも、「循環を設計する」と「入口を広げる」に置き直したほうが生産的だと思う。人材の移動を“損失”として嘆くのではなく、NPOで培われた知見と倫理が社会の中で薄まらず、別の場所で力を発揮し、また戻ってくる。その循環が回る条件を整える。同時に、働き方の多様性、成長機会、意思決定への参加、ケアの文化といった「給与以外の魅力」を含め、入口を広げる設計を積み重ねる。いま必要なのは、流出を止める壁ではなく、往復と合流を可能にする回路だと思う。 ※流入課題は、令和6年度外務省NGO研究会のETIC腰塚さん(P101)、プロビティ・グローバルサーチ株式会社高藤さん(P103)が詳しい。お二人の知見共有に改めて感謝。 mofa.go.jp/mofaj/gaiko/od…
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