
mtake
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先日PIVOTの動画収録で医療制度のあるべき姿について聞かれ、『金持ちと貧乏人であまりに寿命に差がでないように高額医療費制度は残し、医療効果が怪しい普段の利便性は多少我慢してもらう方向で』とだけざっくり答えたんだけど、津川先生がその方向で詳細に構想されてるので、初心者向けに少し解説させてください。 ●オレの経験からみて、今のおまえに足りないものがある・・・『危機感』だ(幽遊白書のセリフ) まず、この問題を考える上での基礎知識は、世界中の国で日本ほど医療に手厚く公金が出されている国はほぼない、ということです。 アメリカが結構な富裕層でもちょっとした病気で破産寸前になることがあるような制度になっていることは有名ですが、一方で欧州は医療費が無料らしいじゃないか、さすが人権先進国は違うなあ!・・・と思いますがそちらはだいたい重要な手術でもかなり待つようになっており、日本みたいに風邪ひいたらサッと病院行って、というような制度にはなっていません。北欧のように老人になったらかなり冷酷に切り捨てられる制度になってる国も多い。 「医療制度のトリレンマ」という言葉があって、これは「安さ」「アクセルの容易さ」「質の高さ」を全部揃えるのは不可能だ、という意味です。 そして日本は「無料ではないにしろ世界的にかなりの安さ」「相当な田舎でも高度医療を受けられる上、”コンビニ受診”的に気になったらすぐ診てもらえるアクセスの容易さ」「世界最高とは言わないもののかなりの質の高さ」を全部実現しようとして、年々「兆円」レベルで増え続ける天井知らずの医療費を税金で補填し続けているのです。 それがどれくらいかというと、みなさんの給与から天引されてる額があまりに最近は大きすぎて大変だと言われている健康保険料でも、実際は医療費の「たった半分ちょっと」ぐらいしか満たせておらず、自己負担額約15%を除くと、だいたい3割以上(十数兆円)を毎年さらに税金からも補填してなんとか回している状態にあります。 そしてこの医療費総額は「少子高齢化」でもちろん増え続けますが、今後一件一千万とか億円とかする高度医療が普及することでさらに激増することが見込まれているのです。 そしたら、税金もさることながら「さらに」健康保険料も激増させていっていいんですか?というかなり大問題が発生しますよね。ここには現役世代と引退世代との負担のバランスとか、とにかく色々な問題があります。 津川先生のポストに対して「そもそもなんで医療費を削減しないといけないんですかぁ?」というあまりに危機感なさすぎなポストがチラホラついてて衝撃を受けましたが、普通に国家予算や保険行政の収支の数字を見れる人間からすれば「本当にマジでなんとかしないとヤバい」状況ではあるんですよ。 昨今、「老人は集団自決するしかない」みたいな発言が流行ってることに心を痛めている良識派の方がいるのはわかりますし私自身もそういう発言には乗り切れない部分がありますが、 >>> 適切な制度改革を考えないと、マジで日本は金持ちとそれ以外で全然受けられる医療が違う国になって、社会不安の原因になる、そういう「瀬戸際の状況」にあるのだ <<<< ⋯ということです。 だからこそ、 >>>> 「老人は集団自決するしかない」みたいな発言に反対の人こそ、この津川先生のような議論をしっかりとフォローし、具体的な制度改革についての議論を深めていくことが今必須なんですよ! <<<< ・ ●維新とか国民とかに突っ込んで欲しいのはこういう議論 日本の自民党と官僚組織は、「壊れかけの制度をナアナアに延命して大崩壊は避ける」ことはかなり得意だし優秀な面もあると思いますが、こと「利権」が雁字搦めに絡んでくる分野においてはその判断が歪みがちです。 そしてまさにこの「医療」分野は本当に「利権」が大問題になってくる分野で、本当に合理的な制度の議論が「医師会」的な利権で歪まされてきた面がある。 とはいえ、津川先生の提言に賛同される医師の方も沢山おられるように、「そもそも宿主が倒れたら自分たち医療者の儲けどころじゃない」という危機感も醸成されてきているでしょう。 こういう部分で、過去の惰性を配して合理的な議論を丁寧に引き上げることこそ、「自民党にはできないことをやる」新進の野党勢力の腕の見せ所ではないでしょうか? 繰り返しますが、「集団自決発言」をただ「批判」するだけでなんとかなる問題ではないんですよ。そういうのは「竹槍でB29に立ち向かう」的な話でしかない。 現場レベルの課題が深くわかっていて、一方で高い倫理感を維持しながら改革の方向性を考えようとしている医療関係者も沢山いるわけですから、メディアも政治家もジャーナリストもそして一般読者も巻き込んで、「意味のある議論」ができる情勢を作っていきましょう。 ちなみに、「脊髄反射の党派争い」を超えて、こういう「現場の事情に立脚した議論」をもっとシェアしていける国にするにはどうしたらいいのか?については、リプ欄に吊るしておく先週出た私の新著『論破という病』が「まさにそういうテーマ」として好評をいただいていますので、ぜひそちらもお読みいただければと思います。





感染症科では、成人の感染症科と一緒に症例検討会を定期的に開催しています。感染症で和む会という意味で、感和会という勉強会です。今回は杏林大学ですべて英語で行われました。分野の違うエキスパートからいろいろな意見が聞けて勉強になります。















